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2009年12月15日
第2回 ODA改革パブリックフォーラム 報告
去る11月28日、国際協力NGOセンター(JANIC)、ODA改革ネットワーク(ODAネット)、関西NGO協議会、そして名古屋NGOセンターの共催の元、第2回ODA改革パブリックフォーラムが東京・代々木で開かれました。
今回のフォーラムに先立って、共催4団体は「政治主導」を掲げる民主党連立政権に対し、ODAの理念・目的・実施体制の改革を求めるべく、「国際協力・ODAの抜本的見直しに関する国際協力NGOの共同提言2009」を作成し、59団体から賛同を得ました。この提言書を元に、フォーラムでは、「援助効果にかかるパリ宣言」やミレニアム開発目標(MDGs)といった国際社会の援助動向を踏まえながら、日本政府の国際協力のあり方を議論しました。
第一部では主催者を代表して、高橋清貴(ODA改革ネットワーク世話人/JVC調査研究担当)がフォーラムの趣旨について説明しました。この中で高橋はODAを薬に例えて、患者の症状をきちんと理解し、薬がその患者に合っているのかどうかを徹底的に調査、分析しないことには、医師は薬を大量に処方すべきでないのと同様に、ODAについても、裨益国の住民に与える影響を議論し尽した上で慎重に実施しなければならないと主張しました。そのためには、日本の国益、企業益の追及からODAを切り離す必要があり、それを実現させるには、ODA理念を明確に定めたODA基本法と外務省から独立した国際協力省の設立が理想であると述べました。
第二部は4つの分科会に分かれて、それぞれ異なる切り口からODAを議論しました。分科会1では「『援助効果にかかるパリ宣言』の視点から見た日本のODAの課題とODA実施体制」、分科会2では「MDGs達成に向けた日本のODAの課題とODAの実施体制」、分科会3では「軍による人道復興援助とODA」、そして、分科会4では「ODA上位政策への市民参加プロセスのあり方に関する課題とODA実施体制」について、それぞれ話し合われました。
この中でODA改革ネットワークは第4分科会のコーディネートを務め、パネリストに川村暁雄氏(関西学院大学)、小林幸治氏(市民が作る政策調査会)、清水規子氏(FoE Japan)を迎えて、ODA政策における市民参加の必要性、あり方、そしてODA基本法の意義と役割について、活発に意見を交わしました。
まず、川村氏から、「ODA政策における市民参加とは何か」という問題提起が為されました。川村氏によれば、一般的な国内の政策が基本方針に基づいて決定されるのに対し、ODA政策は援助受け入れ国の開発政策・分野別政策に基づいており、その決定に現地住民が参加することが極めて稀であるという特殊なものです。その結果として、ODAが開発を歪めてしまうケースが後を絶ちません。それゆえ、ODA上位政策、すなわち、そもそもどの国でどのような事業を行うのかなどといった政策決定は非常に大切だと、川村氏は主張しています。そして、市民参加のあり方として、1)住民が開発に参加できるODAの策定と、2)市民・NGOの知恵を集積し、ODAの政策決定に反映させる、の2段階を提示しました。
続いて、清水氏がFoE Japanが取り組んできたJBICとJICAの環境社会ガイドライン策定を例に挙げて、日本での市民参加がどのような形で行われてきたのか、その成果と課題についてプレゼンテーションを行いました。JBICの場合は、NGOを含む審議会から出されたODAに関する提言が踏襲され、JICAの場合は2008年2月以降、30回以上実施された審議会を経て、ガイドラインの中の環境社会配慮の仕方に関する詳細な記載が盛り込まれ、情報公開のタイミングと量が格段に増えたと清水氏は評価した。その一方で、ガイドライン策定後の現地での市民参加が依然として課題であると指摘しました。例えば、JICAの環境社会ガイドラインにはJICAに対する異議申し立て制度を設けているのですが、実際には情報公開徹底の不十分や現地の心理的なハードルの高さから、同制度はほとんど活用されていません。今後はガイドライン運用のモニタリングと現地市民社会のキャパシティビルディングが課題であるとの認識を示しました。
最後に、小林氏が市民がつくる政策調査会のこれまでの経験を踏まえて、ODA基本法の必要性に関する見解とODA理念の法制化への道筋を提示しました。小林氏はODAを国内の公共事業と同様に捉えて、大綱ではなくきちんとした法的根拠が必要と訴えました。その上で、市民がつくる政策調査会が進めている行政手続き法の改正プロジェクトを取り挙げて、行政計画段階に市民参加を義務づけようとする取り組みを紹介しました。この動きと絡めて、ODA基本法が制定されれば、それを行政手続き法で市民参加を義務づけることもできると、国内法の整備によって海外援助の仕組みを作れる可能性を示唆しました。
第三部は「ODA基本法そして国際協力省 是か非か」と題して、各分科会の議論の総括と多彩なパネリストによるディスカッションが行われました。大橋正明氏(JANIC理事長)がファシリテーターを務め、パネリストには、熊岡路矢氏(JANIC理事)、藤田幸久氏(民主党衆議院議員)、阿部知子氏(社民党衆議院議員)、竹内幸史氏(朝日新聞記者)、廣野良吉氏(成蹊大学名誉教授)が参加されました。
偶然にも国会でのODA事業に対する仕分け審議直後に開かれた今回のフォーラムは、幅広く各界から注目を集め、ODAの質的改善を求める市民社会の声を政策決定者に届ける絶好の機会になったと思います。ODA基本法や国際協力省の設立について、今後市民社会の中でもっと進んだ議論が為されることを期待したいです。
投稿者 oda_net : 2009年12月15日 12:38