2010年07月14日
2010年度第一回ODA政策協議会に参加して
2010年度 NGO・外務省定期協議会「第一回ODA政策協議会」
■ 日時:2010年7月2日(金)13:30〜15:30
■ 場所:外務省 南893会議室
JVC調査研究・政策提言インターンの篠原利恵が、ODA政策協議会に関わり初めて3ヶ月ならではの新鮮な視点から所感をまとめました。
《報告》
藤村副大臣の冒頭挨拶から始まり、ODAのあり方見直し最終とりまとめの内容を「実施」するための議論を活発にしていきたいと述べられました。
外務省からの報告事項は以下の通りです。
1) 中東アフリカ局の河原一貴氏が「第7回未来のためのフォーラム」へのNGOや市民の参加の募集。
2) 気候変動課の貴島善子氏から、気候変動分野における日本の途上国支援についての報告。
3) 地球規模課題総括課の松浦博司氏から、MDGs達成にむけた国内各種アクターとの恊働についての報告と展望。政府とNGOの現場での協力。また、国内でのキャンペーンを行うためにも協力が必要だということ。さまざまな立場の人、それぞれ分野のアクターがバラバラではなく同じゴールを目指して動いていく事の重要性が述べられました。
4) NGO側から、ODA改革ネットワークの高橋清貴氏から、日本のODAに関する相互審査である「DACピアレビュー報告書」の取り扱いについての報告。
各種報告が終わり、協議事項に入ります。
1) 「ODAのあり方見直し最終取りまとめに対するNGO提言に関する説」
まず、このまとめは議論の一席を投じるための検討の結果であり、これで議論が終わる訳ではないという強調がありました。また、これから議論の土台になっていくODA大綱は、パブリックコメントを含め、透明性の高いプロセスで改訂し、現場に反影できるものにしようとの意見が出されました。
2) 「ODAによる農業支援を有機農業中心とする提言」
有機農業は地球環境の未来、地球住民の健康、地球社会の貧困解消の答えになるだろうという、NGO側からの提言に近い議題でした。JICA事業のネリカ米の取り組みを評価した上で、きちんとしたレビューや現状把握が必要だという意見もありました。
《雑感》
特に興味深かったのは協議事項2番目の、「ODAによる農業支援を有機農業中心とする提言」に関する議論です。
インターンを開始してこのような会議の場所に出席させていただくのは3度目ですが、全面的に有機農業にしていってほしい、抜本的改革を求めるNGO側、有機農業も取り入れていきたいが、近代農業ともバランスを計り、ニーズに合わせて、場合に応じてやっていくとする外務省側のそれぞれの立場がありました。
全面的に改革したいNGO側と、ゆるやかに判断していくことを望む外務省側という構図はこの議題だけに留まらず、ODAのあり方に関しても、他の議題に関しても通じてもみられる関係であるように思われました。
また、この議題に関してのアジア学院の田坂興亜さんの発言に、バルセロナを本拠地とするNGOグレイン(http://www.grain.org/front/)の報告書の紹介がありました。このように情報共有など細かいレベルでの連携を実現することが、実際の成果に直接つながるのではないかと感じました。
日本国際ボランティアセンター
2010年 調査研究・政策提言担当インターン
篠原利恵
投稿者 oda_net : 15:09 | コメント (0)
ODA政策協議会全体会(6月18日)を振り返る
2010年6月18日、新政権のODA見直し案に対する岡田大臣、外務省、NGOによる最終的な話し合いの場として、外務省国際会議室でNGO・外務省定期協議会「全体会議」が開催されました。
「見直し案」に関しては、4月13日に臨時全体会として一度、話し合いの場が設けられていました。通常、全体会ではこの一年間で連携協議会、政策協議会それぞれで行ってきた議論を振り返ることを主題としていますが、その時に議論した「案」が最終案ではなかったこともあり、改めて今回の全体会でも議論することになりました。今回も30分という限られた時間ではありましたが大臣自ら参加し、積極的に発言するなど、ODA見直しとNGOとの協働に関し強い関心を持っていることが伺えるものでした。
以下、その報告です。
新政権のODA見直し案に対する岡田大臣、外務省、NGOによる最終的な話し合いの場がもたれた。「見直し案」に関しては、4月13日に臨時全体会として一度、話し合いの場が設けられている。通常、全体会ではこの一年間で連携協議会、政策協議会それぞれで行ってきた議論を振り返ることを主題としているが、その時に議論した「案」が最終案ではなかったこともあり、改めて今回の全体会でも議論することになった。今回も30分という限られた時間ではあったが大臣自ら参加し、積極的に発言するなど、ODA見直しとNGOとの協働に関し強い関心を持っていることがわかる。
議論は、NGOが提言を行い、それに大臣と外務省(国際協力局長及び政策課長)が答えるという形式で進められた。NGO側からは3人が登壇して発言したが、政策協議会側からは特にネガティブ・リストの作成、評価の強化、そして市民参加の下での包括的な検証を強調した。大臣の発言のうち、主に次の2点は記しておきたい。ひとつは、経済成長についての考え方。大臣は、人道主義の重要性を認識しつつも、経済成長の必要性、特に国内にそれを求める声が強く存在することから無視できないという現実主義の発言があった。もう一点は、NGOの多岐にわたる提言を見て、外務省作成の「見直し最終案」にNGO意見が十分に反映されていないのではないかという疑問である。この結果、1週間という限られた時間だが、最終案をまとめる前にここに参加していないNGOからも、書面で意見を集めることになった。
今回のODA見直しプロセスは、きわめて拙速なものであり、ドタバタした感が否めない。民主党政権は、市民重視といいながらも、実際にどうやって市民の声を聞きながら、政策をつくり上げていけばよいのかわからないのではないだろうか。ODA見直しは、これで終わらない。大臣自身の口からも発言があったように、ODA大綱の見直しも近いうちに始まるだろう。見直しプロセスのあり方も含めて、NGO側もしっかりと取り組んでいく必要がある。
ODA改革ネットーワーク
高橋清貴
投稿者 oda_net : 14:55 | コメント (0)
2010年04月30日
2010年度 NGO・外務省定期協議会 「臨時全体会 -ODAのあり方に関する検討ー」 報告
2010年4月13日、外務省国際会議室で「ODA見直し」に関する意見交換会が行われました。
定期協議は、年3回の専門部会(ODA政策と連携の二つ)と年1回、通常6月に開催される全体会から成っていますが、今回の会合は「ODA見直し」という「政策」にも「連携」にも関わる重要テーマということで臨時に全体会として開かれたものです。
以下、その報告です。
日時: 2010年4月13日(火)13:30~15:30
会場: 外務省 講堂
【報告】
まず、岡田克也外務大臣による冒頭挨拶があり、国民のODAに対する批判が強まり、ODAへの共感の低下が続く中、今後ODAの中身について議論をしていくことが重要だと述べられました。続いて福山哲郎外務副大臣より、これまでの議論の概要説明が簡潔になされました。
その後、大橋正明氏(国際協力NGOセンター理事長)より日本のODA見直しに際する要請について、①日本のODAは「開かれた、多様な国益」を目指すこと ②「任点の安全保障」のために使われること ③国際協力に国民が広く参加できるようにすること ④ODAが専門的に扱われること ⑤ODAとNGOのさまざまな連携を飛躍的に強化すること ⑥DOAの質と量の拡充、以上の6点について重点的に述べました。
続いて、NGO政策側を代表して高橋清貴氏(ODA改革ネットワーク、日本国際ボランティアセンター)が、ODA見直しに際する提案を行い、経済成長を指向したODAからの脱却の必要性、過去の検証にもとづいた案件絞り込みのためのネガティブリストの作成、評価機能の強化、そして市民統制ができるODA体制への改革を訴えました。
経済成長を指向したODAからの脱却の必要性については、岡田外務大臣より質問があり、経済成長を前提としないODAのあり方について、今後の議論の兆しが見えてきました。福山副大臣からは、ODAの見直しについて、現在のODAにも褒めるべき点はあるはずなので、批判的な評価ばかりではなく、ODAの良いところをNGOから市民にアピールしていってほしいとの発言もありました。また、西村大臣政務官からは、ネガティブリストの作成に関し、実現可能性を探りたいとの建設的な意見も出されました。
理念・基本方針については、まず福山副大臣からの報告があり、それに対してNGOからコメントがありました。連携側からは、野田真里氏(名古屋NGOセンター)が世界の共同利益追求のためには国民の共感と参加が不可欠であると述べました。その後、政策側からは池田晶子氏(21世紀協会)が発言し、開かれたODAの重要性について述べ、経済成長はODAの目的ではなく結果としてあるべきだと強調しました。
理念・基本方針についての議論が一通り終わったあとは、見直しの具体案についての外務省からの報告がありました。それに対して、NGO政策側から加藤良太氏(関西NGO協議会)が発言し、①NGO主体で行われるODAについての開けた意見交換の場を持つこと ②ODA改革につながる具体的な作業を国民参加型で行うこと ③地方における政務三役や国際協力局幹部と国民の対話を重ねることの重要性について述べました。また、評価体制の構築に対しては、独立評価期間の設置の必要性を強調し、ODA見直し全体に対しては、キメ細かいODAを目指し、「住民全体」を政策レベルで考え抜くことを提案しました。連携側からは、稲場雅紀氏(アフリカ日本協議会)が発言しました。ODAの存在意義を世界の貧困をなくすこと、途上国の貧困層の生活改善に置くことを基本とし、その上で国際協力における市民参加の重要性とその方法、評価のあり方と評価体制の確立、NGOとの多様な連携について述べました。その中でも、評価軸を「何を実施したか」から「何を実現したか」に変えることの重要性を訴えました。
今回は初めての外務省・NGO全体会議への参加ということもあり、話の展開についていくのが大変ではありましたが、理念・基本方針・具体案を通し、①日本のODAの目的を見つめなおすこと ②ODAの透明性を高め、それを国民のODA理解および市民参加につなげること ③過去の案件を批判的観点から評価し、今後のODA事業の案件選択につなげることの3点にNGO側の意見としてある程度の一貫性が見られたように思います。
今回の臨時全体会議では岡田大臣、福山副大臣も出席され、ODA見直しについてNGO・外務省、両者の間で積極的かつ前向きな意見交換がなされたように思います。福山副大臣も、離席される前に、この臨時全体会議を第一歩として今後も話し合いを続けていく意向を伝えられました。ODA見直しに関し、今後も定期協議会が建設的に発展していくことが望めるのではないでしょうか。
米田和希子
日本国際ボランティアセンター 2010年度調査研究・政策提言インターン
ODA改革ネットワーク東京
投稿者 oda_net : 14:51 | コメント (0)
2010年04月27日
NGOインタビュー 【ラオスの村から見た経済成長を前提としたODA事業の影響 ~川合千穂氏インタビュー~】
日本のODAが諸外国で与えている影響とはどういうものなのだろうか?経済発展を前提とするODAから、現地の人々はどういった恩恵を受けているのか?またその逆に悪影響もあるのだろうか?そんな疑問について考えていくために、今回はJVC(日本国際ボランティアセンター)の活動場所であるラオスにスポットを当て、JVCラオス事業担当の川合さんにお話しを聞きました。

まずはJVCのラオス事業についてだが、森林保全と生活改善という二本柱に基づいている。ラオスでは、1960年代に国土の68%を占めていた森林が、1992年には40%にまで減少している。森は村人にとっての生活基盤であるため、森の減少は村人の生活を脅かしている。日本と違い、ラオスでは森や土地がまだ登記されておらず、誰のものなのか明確ではないケースが多く、村人たちが自分たちの権利を主張できない。このため、JVCでは「森林保全」として砂漠地帯などで見られる植林活動ではなく、村人が権利主張できる環境を整えることに重点を置いている。すなわち、「森林保全」=「村人の権利を守ること」なのだ。
では、どうやって森林保全を行っているのだろうか。問題は、村人たちがこれまで伝統的に使ってきた森が事前に許可なく取られてしまうことである。このため、「土地森林委譲」という制度を使って森を正式に登録している。そんな中、村人と話し合いの場を設け合意に至るというプロセスは必要不可欠。JVCは、地方行政やラオス政府と協力してそのサポートをしているというわけである。
そうやって、村人を対象にして活動している川合さんが見る、ラオスでの日本ODA事業の影響はどういったものでしょうか?
日本はラオスに入っている援助国の中でもトップドナーであり、BHN(Basic Human Needs)を満たすため、医療、衛生、教育など多岐に渡る援助が行われているという。しかし、ラオスに限らず日本のODA事業の基本姿勢は「経済発展失くして成長なし」というものなので、道路建設などのインフラ系事業が多いことも否めない。例えば、ナムグムダムの建設。これは、タイへの電力輸出による外貨収入を見込んで、1970年代、まだ内戦中に建設された大規模水力発電である。また、JVCが活動しているサワナケート県で例を挙げると、ADB(アジア開発銀行)が推進している東西回廊、橋、道路の建設も代表的なものである。この東西回廊開発に限って、ラオスの人口の少なさと内陸という事実から見てみると、建設された道路はタイとベトナムを繋ぐ通行道路として使用されるばかりで、ラオス国内で大きな利益を生むかについては懸念が出ている。また、この道路建設に伴い企業誘致も積極的に行われているが、ベトナム企業による植林やタイ企業によるサトウキビ栽培といった事業増加に伴い外国人労働者が入ってくることになり、ラオスに裨益があるというよりは土地確保や資源を持っていかれてしまう傾向にある。水力発電の開発はその最たるものであると言える。メコン川の水量の多くは、ラオスの山側から流れ込んでいる。この豊富な水量に目を付け、現在50以上の水力発電が計画され実施されているという。
日本からもADBや世界銀行を通すという形で出資されているものの中に、カムアン県、ナカイ高原のナムトゥントゥダムがある。最初の発電が先日より行われており、今は試用期間だという。試用期間中であるため、このダム建設による影響はまだ計り知れないが、下流域のセバンファイ川の水量が現在の2~3倍になると言われており、この水量増加に伴う洪水は村人に大きな影響を与えるのではないかと懸念されている。
懸念の背景には98年に建設されたトゥンヒンブンダムがある。このダムができてからJVCの対象村では、雨期に毎年起きる洪水により、米がとれなくなり生活が困難になった。平野部で洪水が起きると、村人たちは山で焼き畑を行わざるを得なくなった。そうすると、その森は荒廃していると判断され開発事業のターゲットとなり植林が始まる。米を作る場も生活できる場も奪われてしまった村人はどこに行けばいいのだろうか。村人たちは、何の補償も得られないまま、次々と新しい生活に適応していかなければならないのである。ダム建設当初は、乾季での灌漑が利点として挙げられたが、乾季稲作で米がとれたとしても、肥料や水をくみ上げるポンプ代などが必要になり、コストのかかる農業をせざるを得ない状況になる。結局はお金が払えずに農業ができなくなる村人も少なくない。
経済発展を目的とした開発事業に伴う影響はこれだけにはとどまらない。ラオスの生活基盤である生物多様性にも影響を与えている。ラオスでは人々は豊かな生物多様性を元に食や暮らしを営んでいたが、今はそのバランスが崩れ始めているという。カエルを例にとって見てみよう。自給自足が成り立っていた農村では、自分たちの食糧として少量のカエルを捕獲するだけで十分だった。しかし、今はマーケットの拡大により、カエルを売れば現金収入を得られるようになった。村人は田の中から米のみならず、カエルや小魚、野草などを採取して食している。生物多様性が村人にとってのフードセキュリティにもつながっている。ラオスでは米がとれる時期は年間3カ月~半年ほどしかない。米がとれない時期、村人は森に入り食糧を確保するか、その食糧を米と交換することで生きていたのだが、森では開発事業として植林が行われている。米不足の時期のセーフティネットであった森の食糧が消え、森は経済林と化し、人々の食の安全も危ぶまれているのが現状だ。
開発事業の波に乗り、生活を豊かにしていく村人がいることも確かだが、逆に何の利益も得られず悪影響を受けるのはほとんど貧困層である。ラオスでのODA事業が進んでいく中、最近よく耳にするparticipatoryという言葉がある。しかし、実際はどこまで村人たちが「参加」できているのだろう?村人の中でも底辺にいる人たちの声はどこまですくい上げられているのだろう?そんな疑問を投げかける川合さんが今後日本のODAに求めること。それは、こういった開発によって被害を受ける人々がいること、できるだけ貧困層の声なき声を拾い、他援助国と連携しながら地域の人々の権利や暮らしを守る体制を整えること。その上で行っていく援助こそが、本当のODAと呼べるのではないだろうか。
投稿者 oda_net : 18:09 | コメント (0)
2010年03月26日
2009年度第3回 NGO外務省ODA政策協議会 報告
2010年3月9日、第3回NGO外務省ODA政策協議会が東京の三田共用会議所 第3特別会議室にて開かれました。
今回の協議会では、NGOが兼ねてより懸案を表明していたイラク復興支援の評価とそこから見える紛争地域におけるODAの問題点、及び岡田外務大臣の外交300日プランにおける「ODAのあり方の見直し」の具体的な内容を議題に取り上げ、全国各地から多くの方が参加されました。
以下、その報告です。
日時: 2010年3月9日(火)14:00~16:10
会場: 三田共用会議所 第3特別会議室
【報告】
まず冒頭、川口三男氏(国際協力局民間援助連携室 室長)からODA政策協議会実施要項の改訂についての説明がありました。今回の改訂は2009年7月に行われた外務省の機構改革に伴って行われたものです。概要については従来のものから大きな変更はありませんでしたが、特記すべきは、外務省側が「原則としてNGO担当大使を務める国際協力局幹部」が協議会出席すること、「副大臣、大臣政務官についても可能な限り出席を確保するよう務める」ことを明記した点です。また、「特定のテーマに付き、サブ・グループを構成することを可能とする」ともしています。
次に、貴島善子氏(国際協力局気候変動課 気候変動交渉官)より、COP15の報告が為されました。デンマークのコペーンハーゲンにおける国際交渉について、貴島氏は「中国が議論のテーブルに付き、政治合意に至ったこと」の意義は大きいとして、前向きに評価しています。更に、鳩山イニシアティブで提示された数字目標(2020年までに25%のCO2削減、2012年までに1兆7500億円の途上国支援)が各国から歓迎されたとともに、交渉の進展に弾みを付けたことで、日本は一定のリーダーシップを発揮することができたとの認識を示しました。
続いて、須永和男氏(国際協力局 参事官)よりG8アカウンタビリティ上級レベル作業部会の設置、伊藤恭子氏(国際協力局 開発協力企画室室長)より南南協力・能力向上に係るハイレベルイベントの概要説明がそれぞれ為されました。G8アカウンタビリティ上級レベル作業部会の設置は、2008年に開かれたG8洞爺湖サミットで合意され、2010年にカナダで開催予定のムスコカサミットまでに、9つの分野を対象にアカウンタビリティ報告書を作成することを目標としています。そして、南南協力・能力向上ハイレベルイベントは2010年3月24日〜25日にコロンビアのボゴタで開催され、南南協力の経験を共有し、途上国の声を集約した上で、今後の対応を「ボゴタ声明」にまとめるとのことです。
【議題】
今回の協議会で一番大きな議論となったのはイラク復興支援の評価とそこから見える紛争地域におけるODAの問題点です。
NGO側からは佐藤真紀氏(日本イラク医療支援ネットワーク 事務局長)が、サマワにおける自衛隊とODAとの連携、イラク内務省への警察車両支援などいくつか問題のあるプロジェクトを例に挙げて、イラクへの無償資金協力の評価の有無、及びその評価ガイドラインの有無について問い質しました。これに対し、外務省側は、事前に資料の提示要請を受けたにも拘らず、当日にはじめて27ページに亘る資料を配布し、「情報は全てウェブ上に開示しているので、ご自身で探すべきだ」という姿勢で回答に臨んでいました。その回答というのは、イラクへの無性資金協力は国際公約に基づかない緊急無償の対象となっているため、事前評価は一切行っておらず、事後評価は治安の問題により、プロジェクトごとに評価できないので政策評価のみに留まっているとのことです。これに対し、谷山博史氏(国際協力NGOセンター)はイラクがどのような状況になればきちんとした評価ができるのか、と質問を投げかけましたが、明確な回答は得られませんでした。
そして、NGOが問題視した二つの事例については、NGO側が自衛隊と連携することの非代替性、費用対効果、リスクマネジメントを外務省に回答を求めたのに対し、治安への配慮から他に選択しがなかったし、他国もそのようにしているということがことが回答として返って来ました。また、警察車両支援については、あくまでも相手国の治安維持能力の向上を目指したものであり、その国家で権力を持つ人々(警察)が人権侵害を犯しているかどうかは日本政府として知る由がない、とのことです。
二つ目の議題は、岡田外務大臣の外交300日プランにおける「ODAのあり方の見直し」の具体的な内容についてです。NGO側から加藤良太(関西NGO協議会 提言専門委員)が見直しプロセスの透明性を確保すること、市民やNGOが検討作業に参加できるような仕組みとすること、過去のODAの検証をまず行うこと、そして、スケジュールを無用に急がないこと、を強く要請しました。そして、これらの市民社会の声に対する岡田大臣及び政務三役の考え方と外務省の見解を求めると共に、並びに現時点での作業状況について情報開示を求めました。
外務省側は、ODAのあり方に関する検討をまずは省内で行い、その骨子ができてから市民社会から意見を求める方針であることを明らかにしました。また、検討期間については、特に制限を設けておらず、継続的に市民社会と対話する用意がある旨を表明しました。
最後に牛尾滋(国際協力局開発協力総括課 課長)から官民連携について議題提起が為されたましたが、事前共有がなかった上、論点が不明確だったため、今回の議論は見送りました。
今回の協議内容を受けて、NGO側としてとりわけイラク復興支援、官民連携について引続き外務省と協議していく方針で合意しました。
投稿者 oda_net : 21:48 | コメント (0)
2010年02月16日
援助効果議論の今と日本の果たすべき役割 ~遠藤衛氏インタビュー~
2005年、国際援助ドナー各国は「援助効果にかかるパリ宣言」 を採択し、オーナーシップ、アラインメント、協調化、成果マネジメント、相互説明責任の5つのコミットメントを打ち立てました。そして、2008年9月にアクラ(ガーナ)でハイレベルフォーラムが開かれ、目標達成の中間評価が行われ、アクラ行動計画(AAA)が採択されました。
今年はパリ宣言の目標年次であり、来年にはソウルで目標達成レビューを行うためのハイレベルフォーラムが開かれる予定です。このような国際的な援助効果の議論を受けて、日本でもこの問題に対する関心が少しずつ高まってきました。今回は援助効果議論に詳しい、神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程/JANIC政策アドバイザーの遠藤衛氏に話を伺いました。
日時: 2010年2月9日
場所: 四ツ谷の喫茶店
質問者: 莫カレン(JVC調査研究・政策提言インターン/ODA改革ネットワーク)
莫: 2005年に採択された「援助効果にかかるパリ宣言」 <http://www.oecd.org/dataoecd/12/48/36477834.pdf> の中で、ドナー各国はオーナーシップ、アラインメント、協調化、成果マネジメント、相互説明責任の5つのコミットメントを打ち立て、その目標年次を2010年に定めました。2008年9月にアクラ(ガーナ)でハイレベルフォーラムが開かれ、目標達成の中間評価が行われ、アクラ行動計画(AAA)<http://www.undp.org/mdtf/docs/Accra-Agenda-for-Action.pdf>が採択されました。アクラハイレベルフォーラム(アクラ)以降、援助効果に関する国際的な動きをまず教えてください。
遠藤: アクラで採択されたアクラ行動計画(AAA)は、援助構造や援助システムの民主化が重要だということを言っています。つまり、一般的に政府や公的な国際機関が行う援助であるODAは、援助機関の行政官が組織内でその仕組みを作っていて、本来、その資金の出もとである納税者や広く国民の考えは反映されていないということです。もっと重要なのは、援助を受け取ってその成果を一番受け取るべき人びとは、裨益者とか受益者と呼ばれる開発途上国の人びとなのですが、その開発途上国の貧困者の声がODAには反映されていないという問題点が指摘されています。他方、NGOやCSOが自動的に貧困者を代表する組織であるとは言えないので、何でもかんでもNGOやCSOがODAの政策決定に参加していればそれで良いといことにはなりませんが、しかしODAの仕組み自体はより透明性が高く説明責任が果たせる内容のものになる必要は高いのです。また、アクラでは援助主体の多様性も注目されました。アクラ後、政府が行うODAはOECDが中心となって援助効果向上の取り組みが行われています。一方、CSO(市民社会)の援助効果については、CSOの援助効果を考えるOpen Forum for CSO Aid Effectivenessというネットワークグループが組織されて活動しています。しかし、今のところどちらも大きな成果は出ておらず、2011年にソウルで開かれる予定のハイレベルフォーラムに向けて両者の議論が形成されてくるものと言えます。
莫: OECDと言えば、昨年10月にDACによる日本のODAに対するピアレビューが行われ、ODAネットもそれをフォローしました。日本のODAについては依然として「紐付き」「インフラ重視」の批判が多いようですが、遠藤さんから見て、日本のODAの問題点はなんですか?
遠藤: 仰るように、日本のODAは経済成長を支援するためのインフラ整備が中心です。東南アジアでは、民間企業の利益になることを政府がODAで助けました。それと期を同じくして東南アジアでは民間投資が活発になり、経済成長が達成されました。それを見た外務省は日本の援助で民間投資が増えてアジアは成長したのだと主張します。しかも、ODAで日本企業を支援するというひも付き援助が重視されました。
しかし、援助が本当に経済成長に繋がるのかというと、そうとは考えにくいのではないかと思います。実際のところ、援助が経済的に果たす役割は小さいとも言われています。その好例がアフリカです。アジアと違って、アフリカはどれだけ援助を受けても長い間成長がありませんでした。低成長により、税収が少なく、保健、教育、公衆衛生といった社会福祉サービスにお金をかけられませんでした。NGOなどはこの分野を支援してきましたし、欧米のODAの一部は政府の財政そのものを支援しています。しかし、日本政府はこれを「持続的ではない」として退けています。日本政府に取っては経済成長を直接助ける援助のが「持続的である」のです。ところが、アフリカでは経済成長が極めて緩やかなため、経済成長だけを重視する援助は成果を上げていません。今、アフリカに向けた援助に必要なのは、今苦しんでいる人たちを如何に支援すべきかが重要なのです。
莫: 鳩山政権は「コンクリートから人へ」の理念を打ち出していますが、これによって今後日本の援助のあり方は変わると思いますか?
遠藤: 鳩山首相は1月の初心演説で「人の命を守りたい」と言いました。これを実現するためには今までのやり方を変えなければなりません。しかし、日本は援助効果の観点から過去のODAを評価していません。これは非常に問題だと思います。外務省の中では今までの日本の援助が東南アジアの経済成長の役に立ったというアジアの「成功体験」が根強く尾を引いています。従って、本当に援助が役に立っているのかという反省を求める評価ではなく、今までやって来たことを正当化するだけの評価になってしまいがちです。
莫: これは今日本政府が押し進めている官民連携の動きとも関連しますね。
遠藤: 日本政府の経済成長のメカニズムに対する考察が、自国や東南アジアでの経験に引きずられているのは確かです。つまり、民間企業を助ければ経済は成長するという幻想を未だに抱いているのです。しかし、先ほども申しましたようにアジアではその頃国全体が伸びていたので、どんな投資でも成功したのですが、アフリカではそのようになっていません。日本が押し進めた官民連携政策が経済成長を牽引したかどうかは分かりません。
また、援助効果の観点からも官民連携政策にはいくつか問題点があります。まず、民間企業に対して公的なイージーマネーが注ぎ込まれるので、競争原理の働かない非効率な仕事になりがちだということ。そして、透明性や説明責任も不足しがちです。
莫: 日本国内では、日本の税金を使って援助するのだから、日本企業が儲かって何が悪い、という意見も広くあります。
遠藤: 一般的な日本人の感覚は、ODA=貧しい人を助けるではなく、ODA=企業が得するになっています。これは長年の自民党政権下で開発教育がなされなかったことに原因があると思います。私たち日本人は「貧しさ」がどうして起きるのか、といった貧困の仕組みを知らない人が多い。そして、「貧困は個人の問題」だと思っていました。しかし、今の途上国は世界的なシステムによって貧しくなっているのです。それ故に、彼らを助けるのは当然の責任だということを私たちは理解しなければなりません。従って、民主党政権への期待として二つあります。一つは援助効果に照らし合わせて今あるODAを良くすること、もう一つは開発教育を学校教育に組み込んで、援助への国民の理解を取り付けることで長期的に援助を良くして行くことです。
莫: 援助効果の枠組みに話を戻しますが、パリ宣言やアクラ行動計画で強調されていた援助の協調、並びに受け入れ国の主体性という点について、日本政府の取り組みをどのようみ見ていますか?
遠藤: 日本の外務省が自国の援助を正当化する際によく使うコンセプトの一つに、「人間の安全保障(Human Security)」というのがあります。これは本来、貧しい人々の生きる権利を守ることを目的としており、そのための外部介入は重要であるという考え方です。これは政府機能が麻痺している状態であれば良いのですが、政府が機能している国ではそぐわないコンセプトです。
国際援助協調の議論の中では、保健や教育といった社会福祉は、本来自国政府が提供すべき社会サービスであり、途上国政府自身がオーナーシップを持つべきだと考えられています。他のドナー国はオーナーシップを途上国政府に委ね、政策決定のプロセスに参加して、政策を一緒に作ろうという姿勢を見せています。これは歩けない人に歩き方を教えるようなもので、大変もどかしいことではあるけれど、とても大事なことです。しかし、日本政府は「人間の安全保障」を振りかざして他のドナーと協調して途上国側のオーナーシップを高める援助をしないことが多いように思います。
莫: それでは、今後の国際的な援助効果向上の議論の中で、日本の果たすべき役割をどのようにお考えですか?
遠藤: 伝統的な日本政府の援助関係者は、日本政府の援助提供方法の変更を迫る援助効果議論や、更に援助の方法論そのものについての考え方を変えようという援助構造に関する議論には、極めて消極的です。日本のODAが日本政府の外交のために行っているという観点からは、日本のODAの方法論について外部からとやかく言われるのは彼らにとっては面倒な話です。その観点から、日本政府はこういう議論が国際的な場であまり急速に展開しないように画策していると言えます。その一つとして、中国のような新興ドナーの援助方法論が非常に保守的であるのを利用して、先進国ドナーが先進的な援助方法論を採用しなくて済む道筋を考えていると思われます。
これに対して日本の市民社会は、日本の税金を利用して行われるODAが世界的な基準を大きく下回ったり、日本政府が国際基準の改善を妨げる要因になるのは問題だと考えています。なので、日本政府に対しては引き続き援助方法論の国際的な基準への遵守と、国際基準の改善に積極的に協力するべきだと主張しています。
しかし同時に、日本のNGO/CSOの海外援助活動の質がどうであるかについての議論は、まだ深まっていません。日本国内でも比較的規模の大きなNGO/CSOは国際的な援助効果議論の基準に対応できる可能性はありますが、小さな規模のNGO/CSOは体力的に困難であると共に、そもそも「市民交流」や「友好促進」といった水準の「国際協力活動」という観点で海外援助活動を行っているとすれば、そのような活動まで国際的な援助効果議論の基準に取り込むのはそもそも対象が違っている可能性があります。従って、日本国内のNGO/CSOで海外援助活動を行っている組織の中で、国際的な援助効果の議論に対応すべき組織は区別されるべきなのか、あるいは、「市民交流」や「友好促進」といった「国際協力活動」であっても守るべき基準のようなものが存在するべきなのかは、まだこれから行われるべき議論であって、いま現在ははっきりした結論のようなものは存在しないのです。
今後、日本のNGOは国際的なCSOネットワークに対して積極的にインプットをする役割を期待されています。そのためには、国内でまずこの問題について議論して、問題提起し、アクションを興して行く必要があります。今はJANICが中心となって、援助効果を考える/議論する機会や情報を国内で提供していますので、それを積極的に活用していくべきでしょう。
投稿者 oda_net : 18:11 | コメント (0)
2010年01月26日
農薬蚊帳の安全性と効果を問う ~野澤眞次氏インタビュー~
マラリアは、AIDSと結核と並ぶ世界三大感染病の一つで、途上国の子供が感染して死亡するケースが多い病気です。ユニセフをはじめ、世界中でマラリア根絶のための努力がなされていますが、そのうちの一つに、日本企業が開発したの殺虫剤入り農薬蚊帳「オリセット」を配布するプロジェクトを日本のODAを通してユニセフが実施しています。
「オリセット」は殺虫剤を網に練りこむことにより、普通の蚊帳よりもマラリアの感染を予防する効果が高いとされており、官民連携のモデルケースとして評価されています。それに対し、国内外の市民団体は環境や健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、農薬蚊帳の配布に強く反対してきました。この問題は昨年7月に開かれた2009年度第1回NGO外務省ODA政策協議会でも取り上げられ、大きな反響を呼びました。
今回は、農薬蚊帳配布反対運動で中心的な役割を果たしてきたサパ=西アフリカの人達を支援する会の事務局長を務める野澤眞次さんに農薬蚊帳に話を伺います。
日時: 1月19日
場所: サパ事務所
質問者: 莫カレン(JVC調査研究・政策提言インターン/ODA改革ネットワーク)
莫: 2009年度第1回ODA政策協議会の報告書で「オリセット」について触れたところ、色々な方からコメントを頂きました。また、その後「オリセット」について取り上げる記事を時折目にするようになり、この問題に関する一般の関心は少しずつ高まってきているのではないかと思います。しかし、メディアから伝わる情報は必ずしも正しくないのではという気もしています。ここで改めて、野澤さんから農薬蚊帳の問題点を教えて頂けますか。
野澤: 私は企業時代から長年熱帯地区で蚊帳を使用して来ましたが、私の経験からすれば、普通の蚊帳で十分蚊除けの効果はあります。その普通の蚊帳を作るコストは大体200円ぐらいですが、オリセットのコストは700円。3倍以上のコストをかけてわざわざ蚊帳に農薬を練りこむこと自体、ナンセンスです。その上、オリセットに使われている農薬のペルメトリンは水生生物への汚染や子供の脳の発達への悪影響など、様々な環境被害、健康被害が指摘されており、EUでは使用が禁止されています。そのような有害物質を含む蚊帳をアフリカの人々に配布する理由がありません。
また、耐性蚊の問題もあります。既に農薬蚊帳オリセットが配布された国々の内、約20カ国で耐性蚊の発生が確認されています。以前WHOが実施したマラリア撲滅キャンペーンでDDTを大量散布しましたが、見事に失敗に終わりました。その原因の一つが農薬の効かない耐性蚊の発生でした。その後DDTの発ガン性や環境汚染が明らかになり、マラリア根絶どころか、途上国の環境と人々の健康に大きな後遺症を残しました。
更に、オリセットの構造にも問題があります。オリセットは比較的網目が大きく、小さい蚊が通り抜けられるそうです。また、地域によっては、網に練り込まれた農薬の臭いを嫌がって配布されたオリセットを使っていないケースもあるそうです。こうなると、そもそもオリセットが蚊帳として機能していないことになります。
莫: 使われていないんですか!それではODA資金の無駄遣いになりますね。
野澤: はい。有効に使われていない可能性があります。
莫: それでは、昨年7月の政策協議会でこの問題を取り上げてから、何か新しい展開はありましたか。
野澤: 私たちはこれまでWHOを中心とした間接的な情報に頼って来ましたが、私は昨年11月と12月にサパの活動地であるギニアビサウに2回往訪して、実際に現地の状況を視察してきました。そこで分かったことがいくつかあります。まず、オリセットの宣伝は、あたかもアフリカでは蚊帳は使われておらず、日本の企業が開発した農薬蚊帳オリセットが現地の人々にとっての救世主であるかのような印象を与えています。私は民間企業に勤めていたころ、東南アジアを舞台に約20年熱帯農業に従事していましたが、どの国でも普通の蚊帳が使われており、死亡者数もさほど多くはなかったと記憶しています。だから、ユニセフやオリセットの開発企業の広報には懐疑的だったのです。今回ギニアビサウに行って、自分の考えが正しかったことをこの目で確かめてきました。写真をご覧頂いてもお分かりの通り、西アフリカではもともと蚊帳を使う習慣があり、どこの村に行っても、ほとんどの農家で普通の蚊帳が吊られていました。<写真1>日中は使用しないので開けっ放しにされていますが、夜寝る時におろして蚊の侵入を防ぐようになっているのです。これで十分効果はあるのです。
<写真1>
また、宣伝の中では、マラリア感染による死亡者数が年間100~150万にのぼると一般的に伝えられており、特に子供の死亡者数が高いと言われています。しかし、WHO自身が発表しているデータ(2006年)を見ると、マラリア感染による年間死亡率は88万人で、そのうちの91%にあたる80万人はアフリカ人です。更にその85%にあたる68万人が子供となっています。これは一見大きな数字のようですが、アフリカの人口が9億人を超えているので、マラリアの死亡率は0.07%となる計算です。現地の人々も、マラリアを脅威と感じておらず、蚊帳を使うのは単に蚊に刺されるのを防ぐためとのことです。そして、マラリアに詳しい医者の話では、マラリアで死亡する原因は高熱による脱水症状である場合がほとんどだそうです。もちろん、たくさんの命が失われているので予防の努力は大事ですが、同じ感染症でもAIDSと違って、マラリアは比較的簡単に普通の蚊帳で予防できて、治療できる病気です。死亡者数が年間100~150万人という数値の根拠も曖昧で、このようなマラリアの実態が一般の人たちに正しく伝わっていないのではないかと私は危惧しています。
莫: なるほど、現地にはそもそも殺虫剤入りの蚊帳のニーズはあまりないということですよね。ちなみに、普通の蚊帳は現地で買えるものなのですか?
野澤: 地元のマーケットで6ドルぐらいで売られています。<写真2>もちろん、そんなお金もないほど貧しい家庭もありますが、その人たちにはユニセフは普通の蚊帳を配ればいいことです。援助する側がもっと現地の人の立場から問題を捉える必要があります。
<写真2>
莫: 現地の状況はよく分かりました。話を昨年7月の協議会に戻しますが、その際、野澤さんは外務大臣宛に手紙を出されて、外務省から返答がないことを問題視しましたよね。その後外務省から何らかの連絡はあったのでしょうか。
野澤: ないですね。実はその後、UNICEFとJICAにも同様の手紙を提出しました。UNICEFは9月、JICAは12月に返信を頂き、どちらも、自分たちは農薬の害を検証する立場にないためWHOの決定に従っているだけだという主旨の回答でした。これは明らかに責任回避です。
それから、この問題についてはJANICが2年ほど前から提言を出す方向で動いており、住友化学に声をかけて企業側の言い分も聞こうとしましたが、12月末に断られたそうです。
莫: それでは最後に、今後のサパ、及び野澤さんの活動の方向性について話をお聞かせください。
野澤: ODAネットや他の団体と連携して引き続き外務省や政府関係者への働きかけを行って行きますが、今後は農薬蚊帳の真相を日本国内のみならず、世界の政府及び国連・NGOにも知らせる活動に力を入れて行きたいと思っています。先日もとある会合で講演を頼まれて、この件について触れたのですが、講演後参加者から子供たちの健康を考えているはずのUNICEFがこんなことをしているとは知らなかった、というコメントを多く頂きました。具体的には、農薬の危険性、環境汚染、耐性蚊の問題をご理解の上、農薬蚊帳から安全な普通の蚊帳への切り替えを早急に実現できるよう、皆様のご支援を賜りたく期待しています。
以上
ご協力ありがとうございました。
投稿者 oda_net : 18:04 | コメント (0)
2009年12月25日
新JICA環境社会ガイドライン有識者委員会 報告
12月21日(月)午前、JICA(竹橋)で約3ヶ月ぶりに環境社会ガイドライン有識者委員会が開催されました。この間に寄せられたパブリック・コメントと関西及び名古屋で行われたパブリック・コンサルテーションで集まった意見に対する回答とガイドライン案への反映が議論されました。内容が専門的過ぎるためか、広報が悪かったためか、コンサルテーションの参加者は少数で、コメント者も9人(うち2人は海外)に留まりました。それでも、コメントは56項目あり、委員会でひとつひとつ検討しました。
委員会で一貫した論点となったのは、どこまでガイドラインそのものに書き込むかです。解釈の幅を拡げないために詳細に書き込もうとすればするほど、冗長になり使い勝手が悪くなります。しかし、シンプルであれば、それはそれで利用者の理解に限界が生まれかねません。結局、FAQやハンドブックと合わせて使ってもらうことになるのだが、何をガイドラインで書いて、何をFAQやハンドブックに書くかということが問題となりました。
例えば、「人権への配慮」という項目では、「人権に関する国別報告書や関連機関の情報を入手する」となっていますが、それにNGOレポートが含まれるのかどうか、また人権理事会のUPR審査の結果文書なども含まれるのかというコメントがあり、これに対してJICA事務局は「必要に応じて参照の対象となる文書であると認識しています」という回答を用意しました。確かに、個別の報告書名を列記することは難しく、上記の様な表現にならざるを得ないことは分かりますが、このJICAの回答では「必要でないと判断すれば含めない」と解釈することも可能になってしまい、それは委員会の意図ではありません。侃々諤々話合った結果、NGOレポートも含めて可能な限り文書、情報を得るという意味で、「幅広く入手する」という文言に変えることとしました。
こうした議論を、一つ一つの項目について行ったため、結局3時間半という長丁場になってしまった。結果を踏まえて、JICAでガイドライン案及びコメント回答案が修正され、年明け1月15日に再度委員会で確認された後、公表されます。また、ガイドラインそのものは4月に完成版が出版され、施行されるのは7月1日からとなる予定です。しかし、いつのどの時点のODA案件から適用するかに関しては、新JICAとなって新しいスキーム(開発準備調査など)が始まっていることなどから、タイミングが難しく、引き続き議論が残っています。これについても次回の委員会で再度議論することとなりました。
新JICA環境ガイドライン有識者委員会も、ようやく終盤を迎えようとしています。恐らく、次回が最終委員会となるでしょう。専門家が集まって毎回3~4時間の議論を合計32回にわたって行ってきたわけで、合計100時間以上を費やしたことになります。かようにギリギリ議論を詰めてODA政策をつくるプロセスは、極めて貴重であると認識しています。こうした市民やNGOが参加した丁寧な政策づくりは他のドナー、特に中国やインドなどの新興ドナーのモデルになるはずであり、もっと紹介されるべきだと思います。メコン・ウォッチなどでは、新ガイドラインについての解説ハンドブックを出版する企画があるようです。ODA改革ネットは、海外への発信において協力していきたいと考えます。まずは、既につながりがある韓国の市民社会との情報共有から始めたいと考えています。
投稿者 oda_net : 15:32 | コメント (0)
2009年度第2回 NGO外務省ODA政策協議会 報告
12月4日に2009年度第2回目のNGO外務省ODA政策協議会が、福岡市のNPO・ボランティア交流センター「あすみん」で開催されました。同協議会は、年に3回行われていますが、より多くのNGO・市民にODA政策が開かれ、参加の機会を提供することを目的に1回は東京以外の地域で開催することとしてます。今年は、九州の福岡で行われ、福岡を拠点に活動するNGOを中心に26名が参加しました。外務省側も本省から5名(うち課長2名、室長2名)が東京から出張し、福岡のNGOとの議論に臨みました。
以下は、その報告です。
まず冒頭、外務省の牛尾国際協力局開発協力総括課長による開会挨拶から始まり、その後4つの報告がありました(①ODA政策協議会実施要項の改定、②円借款の迅速化、③ODA中期政策改定、④DAC対日援助審査)。その後福岡のNGOが提案した議題に従って協議が行われました。
報告事項のうち、「円借款の迅速化について」は10月28日に東京でNGO・外務省定期協議会の分科会として行われた意見交換会の様子が報告されました。外務省の説明の後、そこで議論された迅速化のインセンティヴに対して、コンプライアンス(環境社会配慮、安全対策、汚職防止)がどう確保されるのかについての懸念点が紹介されました。「ODA中期政策改定について」は、外務省側から、時期的にその時期を迎えているが、政権交代の影響で作業が進められていないこと、岡田外相の示した外交方針のうち「300日の課題」の中にODAの抜本見直しが含まれていることから、改定作業が従来通り進められるのか、あるいはより大きなODA政策の改変がありえるのか、政治方針次第であると報告がありました。こうした忌憚のない外務省の意見が聞けるようになったのは担当課長の資質と新政権になったことによるものだろうと思われます。
協議は、次の2つに集中して行われました。ひとつは「カンボジアにおける強制立ち退き等の人権侵害の発生と日本政府の対カンボジア政府開発援助(ODA)供与について」、もうひとつは「メコン川委員会の役割とメコン川委員会(MRC)に対する日本政府の資金供与について」です。最初のカンボジアにおける強制立ち退きの問題では、まずNGO側がカンボジアにおける人権侵害等の状況への日本政府の厳しい対応を糾す質問を行い、それに対して外務省側が人材育成などを通じてガバナンス改善に貢献していきたいと発言し、いわゆる「欧米的」な介入志向の外交展開には否定的であるとの見解が示されました。
もう一つの議題であるメコン川委員会の役割の問題については、MRCが機能不全に陥っていたことの問題性は外務省も認識しており、そのためODA拠出を止めたことの経緯が説明されました(そのため、現在行われている支援はODA予算ではなく農水省予算)。その後、議論はメコン地域諸国首脳会議で示された「鳩山イニシアティブ」やこの地域でプレゼンスを高めている中国の援助姿勢、そしてそれに対する日本政府の対応などまで及びました。注目すべきは、外務省が「今後のメコン川開発において、本流へのダム建設は日本政府は支持しない。支流も十分検討(少なくとも日本国内でのダム見直しの観点を踏まえつつ)する」と明言したことです。
二つの議論のいずれもインドシナ地域に関するものでしたが、今回の協議会ではっきりしてきたのは、同地域における中国のプレゼンスが確実に広まっていることである。協議会が終わった後、担当課長と話をしていても、中国への対応がいかに難しいかとの問題に収斂されてきます。途上国住民の立場に立てば、NGOとしても、対日本ODAへの批判というだけでなく、広い視野に立って共に考えることも必要かもしれないと思います。
詳しい内容については、後日公開される議事録(外務省ODAホームページ)をご参照ください。
投稿者 oda_net : 15:06 | コメント (0)
2009年12月24日
ODAの抜本的見直しを求めて ~満田夏花氏インタビュー~
11月4日、18のNGO/NPO団体が、メコン河流域国への援助政策見直しを求める要請書を政府に提出しました。その1ヶ月後の12月14日には、「事業仕分け」の結果を踏まえて、更に多くの団体と個人が改めて開発援助の見直しを政府関係者求めました。これらの提言書に共通しているポイントは、過去のODAの検証と大規模インフラ事業への無償資金協力の廃止です。今回はこの2点を更に掘り下げて、メコン・ウォッチとFoE Japanで活動している満田夏花さんに話を伺いました。
日時: 12月18日
場所: メコンウォッチ会議室
質問者: 莫カレン(JVC調査研究・政策提言インターン/ODA改革ネットワーク)

莫: まずはじめに、なぜ過去のODAの検証が必要なのか教えてください。
満田: たとえば、ベトナムにおけるODA、道路や運河改修、ダム建設などを考えてみましょう。このようなインフラ事業は、しばしば数千世帯規模の大規模な地元住民の移転や生活の激変を伴います。仮に、ある都市部での道路事業で6,000世帯が移転を迫られたとします。一世帯あたり5人とすると、約3万人の生活に影響を及ぼすことになるのです。もちろん、彼らへの補償金や移転先の確保については、JICAでは事前に確認することになっています。しかし、貧しい人々の移転は、生活の変化を強いられることを意味します。例えば、運河沿いや道路沿いで生計を立てて来た人々が都市計画で郊外のアパートに引っ越しさせられると、彼らは生活の手だてを失うことになってしまいます。
立ち退き問題は、とりわけベトナムやラオスの山岳部に住む人々にとって深刻になっています。ベトナムやラオスの山岳地域では昔から少数民族が20haほどの土地を7年ほどかけて移動焼き畑しながら農業を営み、これに河川で漁業を組み合わせて生計を立ててきました。しかし、日本からのODAなどでダムが作られると、この生活の基盤が崩れてしまいます。まず以前生活していた土地から追われてしまいます。政府からは定耕を前提として、補償として通常1haほどの農地が与えられますが、以前のような移動焼き畑はできなくなります。その上、河川がダムによって消滅し、下流では漁業ができなくなることもあります。その結果、山岳地域の農民は、たとえ現金収入があがったとしても、これまで以上に貧しくなってしまうことがあります。雨期にはダムからの放水で下流地域への洪水被害も生じています。環境への影響も無視できません。私達のODAがこのようなことに使われてはならないのですが、それには過去のODAの検証が重要だと思うのです。
しかし、「開発」という名の下で現地の人々は生活様式を大幅に変えざるを得ず、場合によっては以前よりももっと貧しい状況に追い込まれている実情は実はあまりよく知られていません。というのも、最近はODA供与前や建設前の調査は実施されていますが、建設後のフォローは弱く、さきほど言ったような移転後の人々の生活がどうなっているのかは検証されていないのです。「開発」の負の側面をきちんと把握せずに新しい事業をどんどん進めている現状に、私は危機感を覚えています。
もう一つ私が問題視しているのは、巨額のODAによって援助受け入れ国側の問題解決能力を低下させてしまって、相手国政府が抱えている構造的な問題を温存させているのではないかという点です。
この問題の顕著な事例がカンボジアです。カンボジアの都市部では、民間ディベロッパーによる土地開発と強制立ち退きに抵抗する住民を警察が出動して弾圧するという事件が多発しています。このような暴力的な強制立ち退き行為が国際社会に問題視されてから、既に10年以上経っています。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)もこの問題を深刻に受け止めて、ADBはカンボジア国内の移転政策の法整備に乗り出して、2000年と2005年の2回に亘ってカンボジア政府に移転や補償の法制化のための技術支援を行いました。これに対し、カンボジア政府は最終的にはADBの支援の成果を受け入れず、代わりに『収用法(Law on Expropriation)』と呼ばれる法律を制定しようとしています。法案には欠陥も多く、もしこれが制定されれば、貧しい土地所有者(又は占有者)の権利は著しく侵害されかねません。
このようなことが起きる背景に、ドナー国がこれまでカンボジアの土地問題や立ち退きの法制度がととのっていないことに目をつぶって、援助を提供し続けて来たことがあるように思います。厳しい言い方をすれば、我々ドナー国がカンボジアのような国の政府を援助で甘やかした結果、彼ら自身が問題解決しようという自律機能がなくなってしまったのかもしれません。このことを、ドナー国側はもっと考える必要があります。
莫: 先般の日メコン首脳会議では、鳩山首相はメコン流域国に対し向こう3年で5,000億円以上の援助を表明しました。満田さんはこれについて、どこに問題がとあるとお考えですか?
満田: 過去最大規模の円借款事業はパハン・スランゴール導水事業(マレーシア)で、約800億円でした。一般的なインフラ事業は数百億円規模です。5,000億を積み上げるのは小規模案件では不可能なので、自ずと大規模なインフラ案件で積み上げざるをえません。当然、途上国政府も日本企業ももらえる額が大きい方がいいので、小さいプロジェクトを積み上げるよりは、大きいプロジェクトをやりたがります。この結果、3つの問題が起きます。
第一に、必要ないかもしれない事業、或は必要だがまだ実施時期ではない事業にお金が流れる危険性が出てきます。もちろん、全ての大規模インフラ案件が悪いというのではありません。しかし、金額目標達成ありきでODAを効果的に活用できるかどうかは疑問です。本当に必要な案件かどうか、またしかるべきタイミングかどうかを見極めることが難しくなってしまいます。
第二に、このような過開発、急激過ぎる開発は、却って地域に被害を及ぼすケースが多いのです。実際、ベトナム山岳地域や都市部の開発については、ベトナム当局の行政担当者の一部にすら、「やり過ぎた」という認識があるようです。一気に大きな支援が入ったことで開発を急ぎ過ぎることによる弊害も考えなければなりません。
第三に、大規模な援助を急激に行うことは、過開発の成長モデルを途上国におしつけ、それを波及させる効果を生みます。例えば、ベトナムはかつての日本の高度経済成長と同様の急激な成長モデルを達成しようとしています。その発展を支えるべく、日本はベトナムの電力セクターに巨額の支援を行っています。しかし、日本が行う支援は一方で、ダムの乱立による環境破壊や集中豪雨の時の放水による下流域への被害、先に述べたダム建設地の住民の生活への影響など、様々な問題を直接的、間接的に引き起こしていることも事実です。そのベトナムは今度、同じ構図を他国に転換しようとしています。隣国のカンボジアの電力事業に投資してその電力を買うというようなことをしているのです。日本からの資金がベトナム、カンボジアに流れることで、かつて日本で起こっていたのと同じ問題がメコン流域で起きています。
従って、私達は総額プレッジ(援助の総額を予め決めること)で巨額の金額を外交の武器にするのではなく、援助の内容をきちんと見るように政府に求めていきたいと考えています。なお、このような巨額の金額のプレッジによって、外交としての効果が生じているかどうかについては、先日のコペンハーゲンのCOP15のときの例などが示す通りで、私自身は疑問視しています。
莫: 今回の「事業仕分け」についてはどのように見ていますか?また、その後NGO側で何か動きはありましたか?
満田: 事業仕分けについては賛否両論あると思いますが、ODAについて見直す良いきっかけではあったと思います。「ムダ」の排除には共感していますし、額に頼らない「質」の議論に向けた課題が指摘されたことも評価しています。とりわけ、無償資金協力は人間の安全保障に直結する事業にまわし、経済インフラには使わないという結論は重要だったと考えています。このような事業仕分けの結果が出た直後に、カンボジア第二メコン架橋を無償資金協力で支援しようとしている日本政府の方針には首をかしげざるをえません。
莫: 日本のODAがハコモノに集中して来た背景には、日本企業の存在が大きいですよね。外務省は近年、盛んに「官民連携」を押し進めていますし、日本の世論にも「日本の税金を日本のために使って何が悪い」という声が聞かれます。
満田: これは、ODA哲学に絡む問題だと思います。ODAとは本来、公共の資金を使って、相手国社会の健全の発展や福祉の向上をはかっていくべきものです。官民連携が悪いとは言いませんし、企業が公共の分野で果たしていく役割の大きさを否定するものではありませんが、日本企業の海外進出の支援であれば、すでに、JBIC(国際協力銀行)、JETRO(日本貿易振興機構)、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)など、多くの公的機関が存在しています。さらにODAで手厚く行う必要性はないと思います。また、ODAによる日本企業の海外進出支援は、ODAのそもそもの目的を歪めることになる危険性があります。先に述べた理由から、途上国の地域社会に急激にお金が入って行くことが必ずしも良いとは思いません。
海外投融資の再開についても今議論されています。海外投融資の歴史を見ると環境・人権の侵害や情報の不透明性など様々な問題があり、FoE Japan、メコン・ウォッチを含め、NGO側は海外投融資の再開には批判的で、少なくとも再開の是非について公開で議論をすべきとしています。
莫: 今日話を伺った過去のODAの検証を含め、更に具体的な事例を挙げながらODAの問題提起を行うセミナー「検証:ODAを問う
~メコン開発から見た環境と人権への影響」を1月23日に開催するご予定ですね。その概要を少し教えてください。
満田: 今度のセミナーでは、日メコン年の振り返りとして、メコン流域国における過去のODAの検証と共に、農山村地域の人々と自然資源の関係性が持つ「価値」を再認識し、日本のODA政策に反映させたいと考えています。日本のODAはこれまで所得を上げることにばかり焦点を当ててきましたが、所得の向上では評価できない農山村地域の経済というものも存在します。先に挙げたベトナム山岳地域の少数民族の例は、まさしく、所得が増えたにも拘らず生活がますます貧しくなったというケースです。数字で図れない豊かさを数値で図ることの弊害について考えるべき時にあるのではないかと思います。
以上
ご協力ありがとうございました。
投稿者 oda_net : 00:39 | コメント (0)
2009年12月15日
第2回 ODA改革パブリックフォーラム 報告
去る11月28日、国際協力NGOセンター(JANIC)、ODA改革ネットワーク(ODAネット)、関西NGO協議会、そして名古屋NGOセンターの共催の元、第2回ODA改革パブリックフォーラムが東京・代々木で開かれました。
今回のフォーラムに先立って、共催4団体は「政治主導」を掲げる民主党連立政権に対し、ODAの理念・目的・実施体制の改革を求めるべく、「国際協力・ODAの抜本的見直しに関する国際協力NGOの共同提言2009」を作成し、59団体から賛同を得ました。この提言書を元に、フォーラムでは、「援助効果にかかるパリ宣言」やミレニアム開発目標(MDGs)といった国際社会の援助動向を踏まえながら、日本政府の国際協力のあり方を議論しました。
第一部では主催者を代表して、高橋清貴(ODA改革ネットワーク世話人/JVC調査研究担当)がフォーラムの趣旨について説明しました。この中で高橋はODAを薬に例えて、患者の症状をきちんと理解し、薬がその患者に合っているのかどうかを徹底的に調査、分析しないことには、医師は薬を大量に処方すべきでないのと同様に、ODAについても、裨益国の住民に与える影響を議論し尽した上で慎重に実施しなければならないと主張しました。そのためには、日本の国益、企業益の追及からODAを切り離す必要があり、それを実現させるには、ODA理念を明確に定めたODA基本法と外務省から独立した国際協力省の設立が理想であると述べました。
第二部は4つの分科会に分かれて、それぞれ異なる切り口からODAを議論しました。分科会1では「『援助効果にかかるパリ宣言』の視点から見た日本のODAの課題とODA実施体制」、分科会2では「MDGs達成に向けた日本のODAの課題とODAの実施体制」、分科会3では「軍による人道復興援助とODA」、そして、分科会4では「ODA上位政策への市民参加プロセスのあり方に関する課題とODA実施体制」について、それぞれ話し合われました。
この中でODA改革ネットワークは第4分科会のコーディネートを務め、パネリストに川村暁雄氏(関西学院大学)、小林幸治氏(市民が作る政策調査会)、清水規子氏(FoE Japan)を迎えて、ODA政策における市民参加の必要性、あり方、そしてODA基本法の意義と役割について、活発に意見を交わしました。
まず、川村氏から、「ODA政策における市民参加とは何か」という問題提起が為されました。川村氏によれば、一般的な国内の政策が基本方針に基づいて決定されるのに対し、ODA政策は援助受け入れ国の開発政策・分野別政策に基づいており、その決定に現地住民が参加することが極めて稀であるという特殊なものです。その結果として、ODAが開発を歪めてしまうケースが後を絶ちません。それゆえ、ODA上位政策、すなわち、そもそもどの国でどのような事業を行うのかなどといった政策決定は非常に大切だと、川村氏は主張しています。そして、市民参加のあり方として、1)住民が開発に参加できるODAの策定と、2)市民・NGOの知恵を集積し、ODAの政策決定に反映させる、の2段階を提示しました。
続いて、清水氏がFoE Japanが取り組んできたJBICとJICAの環境社会ガイドライン策定を例に挙げて、日本での市民参加がどのような形で行われてきたのか、その成果と課題についてプレゼンテーションを行いました。JBICの場合は、NGOを含む審議会から出されたODAに関する提言が踏襲され、JICAの場合は2008年2月以降、30回以上実施された審議会を経て、ガイドラインの中の環境社会配慮の仕方に関する詳細な記載が盛り込まれ、情報公開のタイミングと量が格段に増えたと清水氏は評価した。その一方で、ガイドライン策定後の現地での市民参加が依然として課題であると指摘しました。例えば、JICAの環境社会ガイドラインにはJICAに対する異議申し立て制度を設けているのですが、実際には情報公開徹底の不十分や現地の心理的なハードルの高さから、同制度はほとんど活用されていません。今後はガイドライン運用のモニタリングと現地市民社会のキャパシティビルディングが課題であるとの認識を示しました。
最後に、小林氏が市民がつくる政策調査会のこれまでの経験を踏まえて、ODA基本法の必要性に関する見解とODA理念の法制化への道筋を提示しました。小林氏はODAを国内の公共事業と同様に捉えて、大綱ではなくきちんとした法的根拠が必要と訴えました。その上で、市民がつくる政策調査会が進めている行政手続き法の改正プロジェクトを取り挙げて、行政計画段階に市民参加を義務づけようとする取り組みを紹介しました。この動きと絡めて、ODA基本法が制定されれば、それを行政手続き法で市民参加を義務づけることもできると、国内法の整備によって海外援助の仕組みを作れる可能性を示唆しました。
第三部は「ODA基本法そして国際協力省 是か非か」と題して、各分科会の議論の総括と多彩なパネリストによるディスカッションが行われました。大橋正明氏(JANIC理事長)がファシリテーターを務め、パネリストには、熊岡路矢氏(JANIC理事)、藤田幸久氏(民主党衆議院議員)、阿部知子氏(社民党衆議院議員)、竹内幸史氏(朝日新聞記者)、廣野良吉氏(成蹊大学名誉教授)が参加されました。
偶然にも国会でのODA事業に対する仕分け審議直後に開かれた今回のフォーラムは、幅広く各界から注目を集め、ODAの質的改善を求める市民社会の声を政策決定者に届ける絶好の機会になったと思います。ODA基本法や国際協力省の設立について、今後市民社会の中でもっと進んだ議論が為されることを期待したいです。
投稿者 oda_net : 12:38 | コメント (0)
2009年10月30日
DACとの意見交換会を振り返って ~大橋正明氏インタビュー~
OECDの開発援助委員会(DAC)の対日援助審査のため、DAC事務局メンバーとドイツとデンマークの専門家らによるNGOへのヒアリングが10月22日に実施されました。今回のピアレビューの調整を担った国際協力NGOセンター(JANIC)理事長の大橋正明氏に話を伺いました。
インタビュー日時: 2009年10月22日
場所: 東海道線車中
質問者: 莫カレン(JVC調査研究・政策提言インターン/ODA改革ネットワーク)
莫: 今回の意見交換会の調整に携わったご感想を教えてください。
大橋: DACピアレビューは定期的に行われてきましたが、前回(2003年)と今回との一番の違いは、今回のピアレビューがNGO外務省定期協議会の枠組みの中で開催されたことです。前回は外務省が調整役となってNGOに声かけしたのに対し、今回はJANICや定期協議会の世話人が主導して調整を行った点が良かったと思います。DACも日本のNGOの組織力と自主性を高く評価しました。
莫: 意見交換の場を設定する上で特に配慮した点はなんですか。
大橋: NGOがなるべく効果的に意見を言えるようにすることを優先したいと考えました。できるだけ多くのNGOからインプットをもらえるよう、事前に意見書の提出を呼びかけ、参加団体のプレゼンの時間を短くして、なるべくたくさん議論できるように配慮しました。その結果、インフォーマルで率直なディスカッションができたと思います。
莫: 今回の意見交換でNGO側からどのような声が上がりましたか?またDAC側からはどのような質問がありましたか?
大橋: NGO側は近視眼的な国益、企業益追求のためのODAを改め、より裨益国民が望む援助を実施すべきだと提言しました。JANICが出した意見書には、1)ODAを短期的な国益から切り離すこと、2)ODA実施のための法律と省庁を成立させること、3)日本政府が援助効果により積極的に取り組むこと、が盛り込まれています。他にも数団体が意見書を提出しました。また、NGOは前回のピアレビューの提言が外務省に全く取り入れられていないことを指摘しました。
一方、DAC側は、ピアレビューはあくまで強制力伴わないため、提言内容を政策に反映させるためにはNGOのボイスが重要だとの認識を示しました。そして、できるだけ多くのNGOの意見を提言に盛り込みたい意向があり、意見交換会の場に限らず、引き続きNGOの意見書を受け付けるとのことです。日本語でも構いませんので、ご意見を述べたい団体はJANICへご連絡ください。DACのメールアドレスをお知らせします。また、DACからは、政権交代が実現できた今こそがODA改革を推し進めるチャンスだから、NGOがんばれ!という声援を頂きました。
莫: 逆に反省事項などあれば教えてください。
大橋: 一つは、議論はすべて英語という言語的な制約はあったとはいえ、NGOの反応が必ずしも良くなかったことです。これは、ODA政策という大きな枠組みの議論に対するNGOの関心の低さを示していると思います。今後NGO内での意識向上の取り組みの必要性を感じます。もう一つはDACや外務省側の意識改革です。DACは人道支援と開発支援を別物として扱っており、人道支援に重きを置いているように見えました。外務省も人道支援実績を強調したがるきらいがあります。しかし、日本のNGOの多くはそのように明確に活動の線引きをしていません。我々としては現場のニーズに応じて最適な支援の形を作ることが望ましいと考えており、DACにその考えを受け入れさせるのに説明をしなければなりませんでした。
莫: 今回のDACピアレビューの内容をどのように活かしていきたいと考えていますか?
大橋: DACの提言書は来年5月以降に発表される予定です。それに併せて我々は、DACの提言内容をアドボカシーの道具の一つとして活用していきたいと考えています。ODA改革が一部のNGOのミッションではなく、NGO全体で共有すべきゴールだという意識を広めていきたいと考えており、またより多くのNGOがODA改革に参画できる仕組み作りをJANICとしても進めていきたいと考えています。
大橋さん、どうもありがとうございました。
投稿者 oda_net : 13:20 | コメント (0)
2009年07月31日
2009年度第1回ODA政策協議会
7月24日、外務省とNGOsとのODA政策協議会が開かれました。主要な議題は、外務省からODA実施体制の変更に伴う国際協力局の組織再編についてと G8ラクイラ・サミットについての報告、そしてNGO側から提案したODA中期政策改定プロセスについてとODAのリクスマネジメントについてです。以下、その概要です。
(なお、協議会の議事録は後日外務省ホームページ上に公開される予定です。)
外務省報告
【国際協力局機構改革について】
外務省から機構改革について報告があった。改革のポイントは、新JICAの体制に合わせる形でこれまでのスキーム課の廃止及び国別担当課の新設、 COP15を見据えた気候変動質の「課」への格上げなど。
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/annai/honsho /sosiki/keikyo.html
また、この機構改革によってODA政策協議会の担当課を変えることのないよう、NGOコーディネーターを代表して高橋が外務省に要請し、確認された。
【G8ラクイラ・サミットについて】
外務省から、サミットで開発分野において大きな進展が見られなかったことと以下の日本政府の行った提案についての報告があった。
・農業分野(インフラを含む)への3年間で30億ドルの支援表明
・MDGs達成に向けて、保健分野における保健システム全体の強化(特に人材育成)
・食料安全保障について、責任ある国際的農業投資を促進するための行動規範作りの提案
これに対し、NGOからは農業投資の行動規範づくりにNGOが参加する余地の有無について質問があったが、外務省からは、9月の国連総会で関係国やFAO等と行動原則の枠組みについて協議する予定であり、現段階でNGOに声をかける予定はない、との回答だった。
NGO議題
【ODA中期政策改定】
2005年2月に公表されたODA中期政策の改定の時期を控え、NGO(関西NGO協議会が提案者)から以下の諸点を含む議題提案がされた。
1-1) 前回の中期政策改定時と同等水準かそれ以上のNGO・市民参加の保証。
1-2) 改定プロセス・スケジュールの余裕を持った事前通知。
1-3) 改定のための前中期政策の評価。
1-4) 前回改訂時にあった「ODA総合戦略会議」と同様の機能と役割を果たす組織の設置。
1-5) 裨益国の人々の改定プロセスへの参加。日本語以外の言語による資料公開やパブリックコメントの受け入れにも努めるべき。
外務省からは、以下の様な意見があった。
1-1) 新政権下でプロセスが変わる可能性はあるが、市民参加の流れが逆戻りすることはない。
1-2) できるだけ事前に通知するよう努力するが、新政権発足に伴う不確定要素も多いので、その辺の事情は酌んで頂きたい。そう遠くない将来のことではあるので、NGO側も予め準備等を進めておいて欲しい。
1-3) NGOによる評価があれば参考にしたい。
1-4) 総合戦略会議に替わる組織が必要と認識している。
1-5) ODA政策は日本の政策として、まず国内で論じるべきという立場から、裨益国の人々の意見を聞くことについては消極的。しかしNGOが現場で集めた声を聞く用意はある。
以上の議論を踏まえて、NGOから、現在の中期政策は総花的で評価が難しいが、そもそも総花的な政策をつくることが本当に必要なのかという問いかけがあった。これに対し、外務省は、中期政策の評価が困難だと承知しているが、だからこそNGOの提案を積極的に検討し、評価できるような政策に作りなおす必要があると考えている、と述べた。また、中期政策の必要性については、5年スパンで戦略的にODAついて考えるツールとして一定程度有効である。また、これまで作って来た物を止めることは難しいとのことで、NGOに対して改めてプロセスよりも中身へのインプットの要望がなされた。
【ODAリスクマネジメント】
2008年度第2回ODA政策協議会で農薬蚊帳(オリセット)支援を題材に、リスクのある物品を援助することへの対応について議論した。NGO側提案者から以下のように問題点が指摘された。
2-1) オリセットに織り込まれている農薬ペルメトリンをWHOは許可しているが、危険性を示すデータも多数提示されており、EUなどでは使用を禁止しているところもある。このように懸念に値する十分な根拠がある製品は、採用前に十分にリスク評価するべきという予防原則に基づけば、支援を再考すべき。
2-2) 裨益者自らが、普通の蚊帳と農薬蚊帳のそれぞれのメリットとリスクを比較検討し、選択すべきである。従って、彼らが判断するのに必要な情報を事前に提供すべき。
2-3) もし、ODAで配布した物品によって人体に被害があることが証明された場合、どのように責任を取るつもりか。
2-4) どのレベルで危険性が認められればODAでの供与中止を検討するの。その基準が明確にされていない。
2-5) NGO(サパ=西アフリカの人達を支援する会)から今年3月26日に農薬蚊帳に関する「要望と質問書」が提出されているが、回答要求期限が5月31日であったにもかからず、全く連絡がなく、遅れて7月13日に初めて回答があった。対応に不備があったとは思われないか。
これらの問いに対し、外務省山田参事官は「要望と質問書」への対応の遅れについて謝罪したが、その理由として、関係機関などへの事実関係調査に時間を要したためであると説明があった。その上で、ペルメトリンがWHOや他国で許可していること、農薬蚊帳がUNICEFをはじめとする国際社会がマラリア対策の切り札にしていること、また既に全世界で2000万帳以上(内140万帳は2008年に日本のODA資金でUNICEFが配布した)が配布されていることなどを根拠にオリセットの安全性については「確認されたもの」とする立場を主張しました。
また、リスクマネジメントは、「効果」と「リスク」のバランスの問題だと考えており、「安全だが効果が低い」と「危険の可能性が高いが効果も高い」のどちらを選択するかは、その時々の判断によると述べた。そして、オリセットの場合、効果が危険性を上まると判断され、採用されたのだと述べました。しかし、山田参事官はここで敢えて、「誰が」そのような判断を下したかについての明言を避け、責任の所在を曖昧にした。
この外務省の回答に対し、NGO側はペルメトリンの有害性関する最新調査報告を提示した上で、普通の蚊帳でも十分効果を上げて来たにも拘らず、農薬蚊帳でなければならない、合理的な説明を求めた。例えば、EUなどは、これまでの「No Data, No Regulation(危険が証明されなければ規制しない)」から「No Data, No Market(安全が証明されなければ市場に出さない)」に考え方をシフトさせつつあり、危険性の疑いのあるものは市場に出すべきではないとしている。また、「子どもが蚊帳をしゃぶり続けなければ問題ない」とする外務省の見解に対し、リスク評価とは製品の製造から廃棄までのライフサイクルにおける、人体、生態系、環境など全てに与える影響を調査することであるとして、問題認識の甘さを指摘した。特に、農薬蚊帳と普通の蚊帳を比較した効果を第三者機関が調査し、明らかにすべきだと指摘した。すなわちこれらは、現在のODAには、裨益者が主体であるべきところ、彼らに一切の情報が公開されていないこととや予見できないリスクに対応するメカニズムがないことの問題である。
こうしたNGOの指摘に対し、外務省側は「WHOが~」「UNICEFが~」という主体性のない応答に終始し、時間切れで議論を終えた。
投稿者 oda_net : 18:41 | コメント (0)
2009年07月20日
NGO・外務省定期協議会 全体会
去る、6月29日に「NGO・外務省定期協議会」の全体会が開かれた。
協議会はNGOと外務省の間の連携強化とODA政策に関する対話の促進を目的としている。今回、「連携」と「ODA政策」のそれぞれでどのような対話があったかについての報告に加えて、「援助効果向上」(パリ宣言)についての意見交換が行われた。
援助効果については、昨年、アクラで開催されたハイレベルフォーラムに向けてNGOと外務省の間で数回意見交換会が開かれている。しかし、その後、両者の間で援助効果に対する考え方のズレから意見交換会は途絶えていたが、2011年に次のハイレベルフォーラムが韓国で開かれることから、NGOは外務省に情報共有の場をつくっていくべきとの問題提起が行われた。意見交換に対するねらいは、NGOと政府で異なる。NGOが援助効果向上における議論で住民のオーナーシップを強調する一方、外務省はODAの質を欧米的概念で語る「援助効果」という枠組みそのものを見直すべきと考えているのである。しかし、外務省もODAの現場での「効果」を全てを把握できているわけではないことを認め、その上でNGOの現場での経験や情報に基づく意見を参考にしていきたいとの発言もあり、“協調”の可能性も感じれられた。
今回の協議会の中では、一時外務省の側から語気の強い非難に近い返答もあり、議論が熱くなりかけた。そこから、同じテーブルに着いた会議の空間で、表面的なやり取りだけではない忌憚のない議論が交わされていることを伺い知ることができる。協議会の閉会にあたってJANIC(国際協力NGOセンター)副理事の谷山氏(JVC代表)から挨拶があったが、谷山氏はNGOと政府の「緊張感ある協力関係」の継続を強調していた。「緊張感ある協力関係」は、NGOに自戒を求める言葉でもあり、連携と政策対話の2つからなるNGO・外務省定期協議の目的を体現するものである。ODAには、“どろどろした”力学が働く政治が取り巻いているが、今後政府がより多くのNGOの意見を取り入れていくことで、ODAの質を高めることができるのではないかと期待している。
(筆 塩塚祐太(日本国際ボランティアセンター パレスチナ事業インターン)
投稿者 oda_net : 19:21 | コメント (0)
2009年06月26日
「援助効果向上」について議論します
6月29日に、NGO外務省定期協議会の全体会が行われます。定期協議には、ODAとNGOの連携について議論する連携推進委員会と広くODA政策について議論するODA政策協議会がありますが、全体会は、この1年のそれぞれの協議会の議論を振り返ると共に、両者に共通する課題について意見交換を行おうとするものです。今年は、共通意見交換会のテーマとして「援助効果向上」を取り上げることになりました。
援助効果向上の内容については、非常にテクニカルな議論が多いのですが、今度の全体会では、援助効果について外務省とNGOとで定期的に話し合いをすることが可能か?可能であるならば、どのような意見交換会にするべきか、について意見交換します。
提案レジュメPDF↓
Download file
全体会への参加申し込みは、既に締め切りとなりましたが、結果については、後日、こちらのホームページで公開されますので、ぜひ御覧下さい。
投稿者 oda_net : 19:33 | コメント (0)
【打合せ会】第二回ODA改革パブリックフィーラム
現在、ODA改革パブリックフォーラムの第二回目の準備を始めています。
このODA改革パブリックフォーラムは、その名が示すとおり、多様な参加者のもと、ODAについて語り合う開かれた議論の場を設け、日本のODAの将来像を市民の側から提示していくことを目的として、主なネットワークNGOが集まって始めたものです。ODA改革ネットの他、国際協力NGOセンター(JANIC)や関西NGO協議会、名古屋NGOセンターなどの地域ネットワーク団体が協力して進めています。
(第1回の概要や記録については、JANICのホームページで御覧になれます。
今年は国内では総選挙、海外では資源をめぐる外交が活発になってきます。そ
んな中、ますますODAの役割について、その根本から考え直す必要性が高まっています。11月を目処に企画・開催準備を進めていますのでお楽しみに。
投稿者 oda_net : 19:27 | コメント (0)
2008年11月28日
国際協力に関する有識者会議に参加
11月20日に、外務省において表題の通り、第10回目となる国際協力に関する有識者会議が開かれ、ODA改革ネットワークもオブザーバーとして傍聴することができました。
今回の議題は「国際協力と国民意識」でしたが、雑感として、一国民である自分にはあまり具体的な内容とはあまり思えず、これまでに議論されてきたことの繰り返しがあったようにも思いました。
たとえば、日本経済の停滞で国内にも生活が苦しくなっている人が増える中、ODAを増やそうという議論は盛り上がりにくい、広報にもっと力を入れていくべきだ、学生には国際協力に関心のあるものが増えている、といった意見です。
これらはすでに取り上げられている意見であり、それをどうやって具体的に利用したり、ODAに反映していくかといったところまではあまり言及されておらず、会議のまとめも「多様な意見は多様なままで残しておきます」といった具合でした。
有識者会議ですので、何か目標を設定したりやコンセンサスを目指すものではないにせよ、学者や政府の方がただ形を取り繕うだけのために集まるのでは意味がありませんから、これらの会議を通して日本の国際協力をどう改善していけばよいのか、もう少し身のある、結果を伴ったものにしていってほしいと感じました。
年内にもう一度有識者会議が開かれる予定です。
投稿者 oda_net : 11:24 | コメント (0)
2008年10月01日
韓国市民団体との交流
10月1日の朝、ODAネット東京の事務所を、韓国からKorean Democracy Foundation という韓国市民団体のKwanさんと、通訳の朴さんに訪問していただきました。前日のODA改革パブリックフォーラムにも参加していたお二人から、フォーラムの内容や議論についての確認や、日本のODAに関する質問、また市民社会の役割などについての質問をしていただきました。新JICAの実施体制やODA基本法についても熱心に聞いていただき、ODAネットに関する資料も紹介することができました。
話の中で、ODAが国の外交戦略としてのツールとなってしまう面があることが、韓国においてもいえるとおっしゃっていました。東アジアでは中国が援助国としても大きくなっていく中で、日本・韓国のODA、そして市民社会の役割が今後どうなっていくのかはとても重要な問題です。短い間でしたが有意義な交流することができました。
10月3日から5日にかけては日韓市民社会フォーラムも開催されます。ますます両国の市民社会が交流を深め、共通の課題に取り組んでいく協力関係を築いていければと思います。
投稿者 oda_net : 14:01 | コメント (0)
2008年09月02日
第三回援助効果にかかるCSO/NGOと外務省意見交換会
去る8月26日、第三回目を迎える援助効果についての外務省との意見交換会が開かれました。
前回同様、市民社会側からは25名程度、外務省の国際協力局からは5名、オブザーバーとしてJICAとJBICからそれぞれ一名ずつが参加しました。
この9月2−4日に、世界の公的援助/ODAをより効果的にすることを目指す閣僚級会議(HLF: High Level Forum)が、ガーナのアクラ市で開催されます。このアクラHLFに向けて、日本のNGO/CSOと日本政府の間で、ODAの効果向上に関して何が課題でありどのような方向性であるべきかについてこれまで2回の意見交換会を行ってきました。
今回は、アクラHLF直前の意見交換会となり、アクラHLFで採択が予定されている政治文書であるAAA(Accra Agenda for Action)について、日本政府がどのような方針で臨むのか、また日本のNGO/CSOとしては何を期待するのかについての意見交換となりました。
外務省からはAAAについての見解を述べるプレゼンテーションがあり、大体において日本国が重要と考えている、オーナーシップや幅広い関係者の意見が反映されたものであるという点で歓迎していているものの、具体的な実施方法でまだ議論が必要な点も残っているとのこと。(それらには予測性、アンタイド、被援助国のシステム(カントリーシステム)の使用と分業などが含まれます。)
CSO側からは、NGOとしてはオーナーシップやコンディショナリティー、MDG・ベーシックサービスとの関わりなどの点でAAAにはまだまだ不足があるといったことが主張されました。
今回は会議の後、記者会見も行われ、両者のAAAに対する見解が発表されました。
今後市民社会側は、財務省との対話も検討しています。
ちょうど今アクラでは会議が開かれていることでしょう。
日本の市民社会側からも数名が参加されています。
引き続き、援助によって本当に必要とされている人々に最大の効果がもたらされるように、日本を含めたドナー国の動きにしっかりと注目していかなければなりません。
以下、関係資料を添付いたしますのでご覧ください。
AAAの最終版と、
Download file
それに対するCSOの声明(英語)
Download file
投稿者 oda_net : 17:28 | コメント (0)
2008年08月01日
第二回 パリ宣言に関するNGO・市民社会と外務省の意見交換会
暑中お見舞い申し上げます。本当に暑い毎日ですね。
さて、去る7月18日にパリ宣言に関するNGO・市民社会と外務省の意見交換会の第二回目が行われ、市民社会側からは30名を超える参加者が集まりました。
今回は外務省側からは「オーナーシップ」について、市民社会側からは「アカウンタビリティ」についてのプレゼンテーションがそれぞれあり、議論がなされました。 このどちらの論点も、「援助効果にかかるパリ宣言」の重要な項目を占めています。意見交換ということでお互いの論点は述べられたものの、具体的な合意には至らず、今後も対話が必要な状況が続きます。第三回目の意見交換会はパリ宣言の中間レビューが行われるアクラのハイ・レベル・フォーラム直前に、AAA(Accra Agenda for Action)について、政府側とCSO側の意見を述べ合い、その後、マスコミに対してもそれぞれの立場について説明するということが合意されましたが、詳細は未定です。
今回も前回と同様に、外務省との意見交換会の直前には、NGO/CSO側参加者に向けての援助効果向上に関する議論についての基本的な情報等を共有、確認するための事前勉強会も行われました。
参考として資料をいくつか共有したいと思いますので、是非ご覧ください。
/事前勉強会の様子.jpg)
投稿者 oda_net : 12:01 | コメント (0)
2008年06月11日
NGO・外務省定期協議会 全体会議が開かれました!
6月6日金曜日の午後に、外務省に於いてNGO・外務省定期協議会の全体会議が開かれ、NGO、一般オブザーバーを合わせて約60名が参加しました。ODAネットも含めたNGO側は、同日に事前打ち合わせ(主に報告、発表内容の共有と確認)を行いこの会議に挑みました。
定期協議会には報告の部と意見交換の部が設けられておりました。会議の流れは以下の通りです。
報告の部
1. JJ統合の状況と今後の展望について外務省国際協力局より報告、それに対するNGO側から質問とそれに続く質疑応答
2. 国際協力に関する有識者会議より、国際協力局からの報告とNGO側からの質問,質疑応答
3. TICADIVプロセスを振り返って、中東アフリカ局とTICAD市民社会フォーラムよりそれぞれ報告、質疑応答
意見交換の部
これまでの五年間に渡る定期協議を振り返り、①全体会合についてはNGO側から、②連携推進委員会と③ODA政策協議会については外務省・NGO双方からレビューと今後への課題・提言などが発表されました。その後、会議への参加者も巻き込んで自由に意見交換を行い、今後の定期協議の充実に向けて議論がなされました。
報告の部1について
JJ統合の経緯と今後の組織編成についての説明がありました。特に重要なのは、有償資金協力と無償資金協力が一体化して形成される新JICAに対して、外務省の権限が強まる点です。ODA政策の企画・立案を外務省が設定することになる今回の統合に、NGOが関与していける余地はあるのかなどが問われました。
報告の部2について
今年1月に提出された中間報告に関して、国際協力政策におけるNGOの位置付け(企業とともに最下層となっています)や、会議中の意見の不一致が両論辺記されていない点、最終報告作成の有無などについてNGO側からの指摘がありました。これに対し外務省側の返答は、国際協力政策へのNGO側からのインプットの必要性を認識しつつも、今後も有識者会議的なものを継続的に持つことには消極的でした。
報告の部3について
TICADIVにおいてアフリカ支援における日本の指導力と行動の欠如が明らかになった点を踏まえ、市民社会の立場から、改めてアフリカの貧困問題への解決につながる日本の行動と説明責任を求めました。経済成長の必要性を認識しつつも、主導すべきはMDGsにそった貧困削減のアジェンダと、提言の具体的な政策化でなければならない点、またグッドガバナンスに則った支援には市民社会の参画が重要な点も強調されました。
意見交換の部では、連携推進委員会を通じてNGO・外務省の協働の具体的成果が表れているなどの報告があり、NGO側と外務省側のアジェンダには共有できるものが見られる一方で、援助効果、市民社会の参画、政策協議会のオープンさなどに関連して今後克服すべき課題も挙げられました。開発途上国において発展を支援するという同じプラットフォームで活動しながらも、NGOがそれぞれ個別の理念を主張する一方で外務省は多数の意見をもまとめあげる責任を持ち、その立場から、外務省はNGO側にも総論としてのまとまりを求める、といった意見も出されました。市民社会側からは、今後も両者で共同の勉強会やワーキンググループ、分科会を開いて、お互いに国際協力援助に関する知識を深めて連携と協働を積み重ねてくことが必要だといった意見が積極的に出されました。
報告 ODA改革ネットワーク東京事務局
投稿者 oda_net : 14:56 | コメント (0)
2007年12月21日
提言「三つのホショウを実現するODAへ」
ODA-NETでは、他のネットワークNGOとともに、1)外務省「国際協力に関する有識者会議」中間報告(2008年1月)、2)JICAとJBICの統合(2008年10月)、3)G8洞爺湖サミット(2008年7月)に備えて、ODAのあり方や実施体制に関する提言をまとめる作業を続けてまいりましたが、先日12月7日、「提言 ー三つのホショウを実現するODAへー」として発表いたしましたのでご報告いたします。
なお、本提言は同日開催された、外務省「国際協力に関する有識者会議」議員と市民との意見交換会の席上、配付いたしましたので合わせてご報告いたします。本提言は下記よりダウンロードできますので、ご一読ください。
「提言 ー三つのホショウを実現するODAへー」→Download file
投稿者 oda_net : 15:09 | コメント (0)
2007年02月16日
マニングOECD-DAC議長との座談会(2/13)を終えて
2月13日に、OECD/DAC議長のリチャード・マニング氏を招いての座談会が開かれ、政府、国会、NGO、それぞれの立場から日本のODAの課題と未来について活発な討論が行われました。共通点は2つあり、ODAの再生への願いとパートナーシップの必要性でした。つまり様々な立場から、ODAについて新たな目的、議論、世論を作り出し、改めてODAを定義していこうという思い、そして、国際社会、ドナー国と受け入れ国の政府および市民社会が連携を深めていく必要性が確認されたわけです。
2008年は、日本がホストを務めるG8そしてTICADをはじめとする様々な国際会議が開かれます。それに先立って、今回の座談会が各セクターの壁を越え、本当に必要で有効なODAのあり方を見つけ出す第一歩となってくれることを願っております。
1)当日の様子については、インターネット新聞「JANJAN」ウェブサイト(http://www.janjan.jp/world/0704/0704033042/1.php)にて、記事付きで配信中です。
2)当日の議事録については、「TICAD市民社会フォーラム」ウェブサイト(http://www.ticad-csf.net/w-group/advocacy/event/symp070213-re.pdf[PDF])にアップロードされています。
投稿者 oda_net : 15:01 | コメント (0)
2006年07月07日
ODA武器供与反対の申し入れ
日本政府はインドネシア政府に対して「マラッカ海峡のテロ・海賊対策のため」に巡視船艇3隻を、ODAによって無償供与することを決定する、という報道がありました(読売新聞 2006年6月2日)。私たちは、以下の理由からこの決定は不適切な政策判断であると考え、計画の即時撤回を求め署名をつのり6月15日に外務省へ申し入れに行きました。
1:「武器輸出三原則」を踏みにじるもの
2:「ODA大綱」の原則を無視する決定である
3.ODAによる軍事援助・軍事化を加速させる
4.DACのODA定義に反し、貧困問題の解決に寄与しない
申し入れ文書はこちら→Download file
外務省からの資料→Download file
申し入れ記録(NGO側)→Download file
【参考】共同通信2006年6月16日
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.NewsPack.npnews?newsid=2006061501003639&genre=world
主権確認し署名受け入れ/巡視船供与でインドネシア
【ジャカルタ15日共同】インドネシア政府は15日、日本が武器輸出3原則の適
用外として13日に閣議決定した巡視船艇の供与について、インドネシアの主権尊重
を確認する付属文書作成を条件に受け入れ、両政府は合意文書に署名した。14日に
署名する予定だったが、インドネシア側から異論が出て延期されていた。
巡視船艇は政府開発援助(ODA)で初の「武器供与」。マラッカ海峡の海賊・テ
ロ対策に米国や日本が関与を強める中、沿岸国では主権が損なわれるとの警戒感が強
く、支援の難しさを示した形だ。
投稿者 oda_net : 20:00 | コメント (0)
2006年01月20日
ODA一元化議論に対する意見書
現在、「海外経済協力に関する検討会」のもとで進められているODA一元化議論に対して、ODA改革ネットワークは意見書を提出致しました。意見書では、市民参加を確保し、援助の本質的理念に立ち返った上での制度・組織の見直しを求めております。
意見書はこちらからDownload fileご覧頂けます。
また、「検討会」およびODA議論をフォローアップしている期間限定メールマガジンを発行しております。ご関心のある方はこちらまでtokyo@odanet.npgo.jp、お名前とご一緒にメールをご送信ください。
投稿者 oda_net : 15:58 | コメント (0)
2005年12月28日
ODAはどうなるのか~公開討論会~
先日の12月8日に、奉仕園スコットホールにて『NGO主催緊急公開討論会~ODAはどうなるのか~』が開かれました。政府系金融機関の改革議論が進む中で、国際協力銀行(JBIC)の行く末、ODAのあり方について、NGOとパネリスト、参加者が集まって熱い議論が交わされました。ODA-NETも主催者として参加した今回の討論会は決定から実施までの時間があまりなかったにも関わらず、当日はたくさんの人にお集まりいただきました。予定終了時間が過ぎても質問は続くなど、フロアからの活発な声もあって活気に包まれたまま討論会は終了いたしました。終了前に、今後のODA改革に向けた要請文の確認が参加者とともに行われました。安倍晋三官房長官、原田明夫「海外経済協力に関する検討会」座長宛てに提出された要請文はこちらでご覧頂けます。
ODA-NETではJBICの解体・統合に関する動向を今後も追っていきます。今回行われた討論会の概要・議事録は近日HP上で公開予定です。
投稿者 oda_net : 12:03 | コメント (0)
2005年07月18日
リーフレット「ODA改革の視座」できました。
ODA-NETのODA改革に関するポリシーをわかりやすくまとめたリーフレット、「ODA改革の視座」を作りました。このポリシーは昨年来議論されてまとめられたもので、ODA-NETの関わったいくつかの政策提言・提案などにも適用されています。ODA-NETのご紹介にも最適ですので、ぜひダウンロードの上ご一読ください。
★リーフレット「ODA改革の視座」A5版製本バージョン
〜ダウンロード〜
形 式:PDFファイル545KB
原 版:A4版2枚
体 裁:A5版8P
※A4タテ用紙に原版を両面刷りし、真ん中でヨコに2枚に裁断し(A5サイズに)、2枚を組み合わせて冊子のかたちにしてお読みください。
★リーフレット「ODA改革の視座」A4ヨコ版バージョン
〜ダウンロード〜
形 式:PDFファイル548KB
原 版:A4版4枚
※A4ヨコ版に2ページ分割り付けてあり、ページ順になっていますのでそのまま綴じてお使いいただけます。
投稿者 oda_net : 16:15 | コメント (0)
2004年10月13日
イラク復興支援に際する意見書
2004年10月にODA改革ネットワーク・東京は、「日本政府によるイラク復興支援の適切性・透明性への懸念」(4年間にわたる無償資金協力15億ドル含む50億ドル支援の約束)を示した意見書を外務省に提出いたしました。