2010年02月28日

JANIC援助効果/開発効果セミナー参加報告

2010年2月12日(金)と23日(火)の二回にわたり、JANIC主催の援助効果/開発効果セミナーに参加しました。
セミナーの概要は以下の通りです。
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第1回 「カナダの市民社会と援助効果:日本の市民社会が学ぶべきこと」
日時: 2月12日(金)9:45~11:45
場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター
内容: ノーマン・クック氏(名古屋大学客員教授/元カナダ国際開発庁 国際部所長・NGO担当部長)、高柳彰夫氏(フェリス女学院大学国際交流学部 教授/JANIC援助効果事業助言委員)による「カナダの市民社会と援助効果」に関する講演、及び遠藤衛氏(神戸大学大学院国際協力研究科 博士後期課程/JANIC政策アドバイザー)のファシリテーションの下で参加者による意見交換。

第2回 「NGOの開発効果を問う~NGOは受益者への説明責任を果たしているか~」
日時: 2月23日(火)16:00~19:00
場所: 早稲田奉仕園
内容: 
1.基調講演 「NGOの開発効果に関する英国NGOの取り組み~受益者への説明責任の観点から」
ジュリアン・スロデッキ氏(BOND 開発効果プログラムマネージャー)
2.支援現場における事例紹介 「受益者への説明責任とは?~ネパールにおけるカマイヤ支援の事例から」
定松栄一氏(セーブ・ザ・チルドレンジャパン 事務局次長兼事業部長)
3.パネルディスカッション
ジュリアン・スロデッキ氏、定松栄一氏、黒田かをり氏(CSOネットワーク 共同事業責任者)、遠藤衛氏
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第1回のセミナーで特に印象的だったのは、援助先進国と呼ばれたカナダで保守党政権の政策により、ODAへの市民参加が危ぶまれているという指摘でした。カナダでは1980年代から二国間ODAにNGOが参加するようになり、1990年代半ばまでにカナダ国際開発庁(CIDA)からNGOへの資金供与が急激に増大しました。しかし、ブッシュ政権下のアメリカ同様、カナダでも2006年に誕生したハーパー政権は右派イデオロギーと石油利権が政策決定を牛耳られており、市民社会に対して開放的だった自由党のODA政策をことごとく覆して来ました。

その一例として、市民団体への助成金の削減と独立性の侵害が挙げられます。カナダでは政府が運営資金を全額負担しているNGOが数多く存在しています。これらの団体は総理大臣への報告義務を負うものの、自由党政権の下では自ら理事会をおいて独自の活動を実施してきました。しかし、2006年の政権交代以降、政府はこれらの団体の理事会に右派寄りの人物を送り込み、独立した活動を妨害しようとしました。また、政府の方針に沿わない活動を行う団体に対しては、助成しない措置を採りました。

そして、CIDAもやはりこのような政府のプレッシャーを受けて、援助効果の名の下で、これまで80カ国に及ぶ活動範囲を政治的に重要なアフガンやイラクといった20の国々に絞り込むなどして、活動を大幅に見直すことになりました。また、優先課題もこれまでの「人権」「女性」「環境」「民主主義とガバナンス」から「経済成長」「慈善指向」「食料安全保障」「子どもと若者」に変わりました。これらは明らかに政治的な意向を反映した援助政策であり、非常に危惧すべき状況であると言えます。

第2回のセミナーでは、CSOの説明責任について、講演とパネルディスカッションが行われました。冒頭でまず、スロデッキ氏がなぜCSOの援助効果が必要なのかについて大変分かりやすく説明しました。NGOはドナーからの資金提供を受けて活動をしていますが、ドナーは直接途上国の人々にお金を渡すこともできるはず。そこに敢えてNGOを介在させるのは、NGOが生み出す「付加価値」があるからだとスロデッキ氏は言います。NGOの説明責任とは、言い換えれば、この「付加価値」を明確にすることでもあります。

スロデッキ氏によれば、CSOの説明責任を議論する時、一体誰に対して説明責任を負うかという問題がしばしば持ち上がります。NGOは往々にして運営資金獲得のために膨大な時間と労力を費やしてしまうため、ともすれば一番大事な受益者に対する説明責任を軽視してしまうと彼は指摘します。ビジネスの世界であれば、企業は自分たちの製品やサービスを使う顧客に対して説明責任を負うことは当然であり、顧客の声に耳を傾けなければ良い製品やサービスを提供できるはずはないと誰しもが思っています。だが、この「常識」はNGOの活動の中ではあまり意識されて来ませんでした。その理由の一つに、民間企業と違って援助の世界には「消費者」の声を吸い上げるメカニズムがないことが挙げられています。しかし、最近では、途上国住民の名の下で集めた活動資金がどのように使われるかについて当の本人たちに決める権利があり、途上国の人々は単なる「受益者」ではなく、「権利を有する者(rights holder)」であるという認識が広がりつつあります。従って、NGOは活動の内容や結果を重視するのはもちろんのこと、そこに至るまでの決定プロセスに当事者である地元住民の意見を取り入れなければ、受益者に対する説明責任を果たせたとは言い難いとスロデッキ氏は指摘します。

続いて、定松氏は自らのネパールにおけるカマイヤ支援の経験を元に、受益者への説明責任とはなにか、また、それを現場でどう果たすべきかについて話されました。氏はプロジェクト調査時に自分たちのミッションを明確にしなかったために生じた誤解や3年にわたる現地調査を経て描いた事業プランが支援される側に拒否されたことなどを告白しました。氏自身の試行錯誤に基づくケーススタディーであっただけに、大変説得力がありました。私たち外部の人間がどんなに調査をして理論を組み立てても、途上国で支援を必要とする人々のニーズを完全に把握することは不可能ですし、彼らのニーズにそのまま応えることが良い援助であるとは限りません。だからこそ、自分たちがなぜ途上国に来ているのかをしっかりと地元住民に伝え、それに対する彼らの意見を受け入れ、双方話し合って最適なプロジェクトを形成していってはじめて、本当に役立つ援助が実現できるのだと思います。

今回のセミナーでとりわけ印象深かったの以下の3点です:
1. 援助効果はNGOの存在意義そのものである、
2. 援助は「結果」だけでなく、「プロセス」も重要である、
3. NGOの活動は、意識的にせよ、無意識的にせよ、ドナーの意向や団体ポリシー、先入観など様々なファクターによって影響されている。

2回の援助効果セミナーを通して感じたことは、まず、市民社会のODAへの参加度合いが日本と欧米の援助先進国とでは大きく違うことです。予てより日本の市民社会や国際社会は日本のODAの閉鎖性を指摘してきましたが、カナダやイギリスで市民社会が如何に多くのインプットをODAに対してしていたかを知り、改めて援助後進国日本の課題を見た気がします。近年後退して来たとはいえ、カナダやヨーロッパ諸国のODA実績から学ぶことはまだまだたくさんあり、特にNGOとの「対等なパートナーシップの構築」と市民社会への情報開示が重要であると感じました。

第二に、援助効果に関する議論はしばしばその評価方法などといった技術的な課題に焦点が置かれがちですが、本来、援助は一国の開発の中の一部でしかなく、その開発全体像を無視して援助を語るのはいささか本末転倒だという指摘には大いに頷けました。そして、援助は常に受益者のためのものであり、その受益者の声を決して見失ってはいけないと改めて気づかされました。従って、私たち援助をする側は独断的にプロジェクトを立ち上げるのではなく、受益者の声を聴きながら、この援助が果たして本当に必要かどうかという点から根本的に考えて行かなければならないと思います。

最後に、援助効果の議論が政府の二国間援助からNGOによる草の根レベルの活動にまで広がりつつある中、日本ではCSOの援助効果議論が非常に出遅れている感が否めません。その理由はNGO側のリソースの問題、意識の問題と様々あるかと思いますが、一つには遠藤氏が指摘した、「NGOの活動定義」にあるのではないかと考えております。途上国で活動する日本のNGOの多くは「現地の人々との繋がり」を大切にし、「活動すること、そこにいることに意義がある」という考えを持っています。このような開発援助を目的としない活動を行うNGOに対して「援助効果」を求めることはそもそも不可能であり、これが日本でCSOの援助効果議論がまとまりにくい一因にあるのではないかと、遠藤氏は分析しています。私もこの意見には大変共感します。しかし、今後国際社会の援助効果議論に貢献していくためにも、JANICを中心にCSOの援助効果に積極的に取り組む団体のネットワークを構築して、日本のCSOから建設的な情報や意見を発信できるようにして行く必要があると思います。

投稿者 oda_net : 15:44 | コメント (0)

2010年01月26日

【セミナー報告】検証:ODAを問う〜メコン開発から見た環境と人権への影響〜

1月23日、東京芝大門の人権ライブラリー会議室にて、メコン・ウォッチとFoE Japan主催のセミナー『検証:ODAを問う〜メコン開発から見た環境と人権への影響〜』が開かれた。鳩山首相が昨年メコン流域に今後3年間で合計5000億円にものぼるODAの供与を表明したのを受けて、本セミナーは、過去の開発プロジェクトの過ちと今メコン流域諸国が抱える問題に焦点を与えることで、今後の巨額な支援が相手国の環境、人権、社会構造等に与える悪影響に警鐘を鳴らした。

プログラムはODAの概観説明に始まり、続いてカンボジア、ミャンマー、ラオス、タイ各国の事例が紹介され、最後に日本のODAに何を求めるかという議論で締めくくった。

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冒頭では、満田夏花さんが日本のODAをデータで振り返り、日本のODAが歴史的にアジアに集中しており、今でも多くのアジア諸国にとって日本が最大のドナーであることを強調した。その日本の外務省は近年のODA予算の削減で日本は重要な「外交ツール」を失いつつあり、結果、日本の国際的な「発言力」が下がったと主張しているのに対し、満田さんはODAを「外交ツール」とする見方を疑問視する一方で、ODAへの関心は既に「額」から「質」に移っていると指摘した。

事例紹介のトップバッターは、土井利幸さんによるカンボジアにおける強制立ち退き問題のプレゼンだった。現在起こっている立ち退き事件の多くは日本のODAとは直接的な関連はないとしながらも、土井さんは日本政府の対応にはいくつかの問題があると指摘した。まず、カンボジア国道1号線改修プロジェクトを例とする立ち退きを伴うODA事業は已然として継続している。日本は過去の失敗から学ぶことなく、移転を強いられた住民に対して十分に補償を支払わず、また彼らの移転後の生活について調査することもなく、道路建設の無償資金協力をどんどん進めている。

第二に、日本はカンボジアにとって最大のドナーである。従って、日本政府には、カンボジア政府に対して暴力的、非民主的な強制立ち退き行為を停止するよう要請する力があり、またそうする責任がある。その上で、カンボジアの土地制度や移転政策を整備する支援を行うべきである。しかし、日本政府が取った行動はその真逆であった。2009年7月16日にカンボジアのドナー各国が、「国内の土地紛争地域での強制立ち退きを停止し、風霜解決のための校正で透明な手続きを導入...するよう」カンボジア政府に提出した共同声明に調印しなかったのは日本だけだった。

続いて、秋元由紀さんがビルマのケースを取り上げ、独裁国家へのODAのあり方を問うた。カンボジア同様、ビルマの軍事独裁政権にとっても日本は最大援助国である。その日本は1989年に円借款を凍結するまで、毎年約500億円のODAを27年間に亘って軍事政権側に供与し続けた。しかし、軍事政権下での開発は住民参加や社会と環境への配慮が皆無なだけでなく、しばしば労働や移住を住民に強制し、それに対する補償も行われなかった。にも拘らず、昨年11月7日に行われた日緬首脳会談で鳩山首相は、「もしビルマの総選挙が我々の期待する方向で行われるのであれば、様々な支援を強めて行く」と述べた。しかし、今年行われる予定の総選挙についてはまだ何も決まっておらず、その上、軍政側は2008年に憲法改定を行って現行体制の保持を永続的なものにしたため、例え選挙が公正に行われたとしても何も変わらないのだ。秋元さんは鳩山首相の「我々の期待する方向」という発言は如何様にも解釈できるので、今後のビルマ選挙の行方と日本政府の反応に注視するよう呼びかけた。その上で秋元さんは日本政府に対して、以下のことにODAを活用すべきと提言した:1)軍政への圧力、2)予算分配を軍事費から国民の教育や保健にシフトするよう働きかけること、3)国内避難民への支援、4)難民受け入れ、5)人権活動への支援。

次に、東智美さんがラオスのナムトゥン2ダムを例に取って、「豊かさ」を数値ではかることと「貧困削減のための開発」に異議を唱えた。東さんによれば、ラオスの国民一人当たりの所得は確かに東アジアの中で最下位であるかもしれないが、この国には豊かな自然があり、人々はその恵みを享受して自然と共存してきた。その生活には数値では測ることのできない「豊かさ」があった。しかし、「貧困削減」の名の下で行われた開発によって、自然は次々に破壊され、人々はこれまで生活の糧を提供してくれた森や川から離れて暮らさなければならなくなった。新しく引っ越した土地ではきれいな家が提供されて、収入も補償によって一時的には増加したが、生計手段を失った住民たちは、これからますます厳しい生活を強いられることになる。これは、貧困を所得という数値ではかろうとしたが故に起きた悲劇である。最後に東さんは「豊かさ」について非常に大事な問いを残した。「1日1ドル以上稼げる生活」と「1日1ドル以下で暮らせる生活」のどちらが「豊か」か?

事例紹介の最後は木口由香さんによるタイのプレゼンである。木口さんは日本のODAによって建設されたシーナカリンダムやラムタコン揚水式水力発電所について、計画・実施・評価・事後対応の各段階における問題点を解説した。シーナカリンダムについては、1980年に完成したものの、ダムの安全性を巡って、住民と実施機関・行政の対立が今でも続いている。そして、ラムタコン揚水式水力発電所については、建設時に環境アセスメントにない爆破が行われ、これによって住民に呼吸器系の疾患が出たにも拘らず、きちんとした健康及び因果関係調査も実施されず、事態はうやむやのまま闇に葬り去られようとしている。これらの事例から、過去のODAの過ちが数十年後もなお、地元住民に被害を与えている一方で、日本はそこから何も学んでいないという現実が浮き彫りになった。

本セミナーは最後に、清水規子さんによるODAの透明性と審査・評価体制に関する提言で締めくくられた。近年ますます活発になりつつある官民連携の動きを踏まえて、清水さんはODAプロジェクトにおける本当の途上国ニーズの見極め、ODAの透明性の確保、及び評価の客観性に疑問を投げかけた。これらの課題は、民間企業が参入することで悪化する可能性がある。また、ODAは本来企業支援のための資金ではなく、途上国の人々のために使われる貴重な税金である。政府は官民連携に円借款を供与する際、特定の企業、または業界を肥やすために限りある資源を無駄にしないよう、あらゆる措置を講じなければならないし、市民団体は今後も官民連携の動向をウォッチして行く必要があると清水さんは強調した。

投稿者 oda_net : 15:36 | コメント (0)

2009年11月26日

11月24日開催★ODA基礎勉強会

10月の24日(火)に日本国際ボランティアセンター(JVC)の事務所にて、ODA基礎勉強会が開かれました。今回の勉強会は、28日のODA改革パブリックフォーラムに向けた事前勉強会として、日本のODAの問題点を整理することに主眼を置きました。

直前の告知にもかかわらず、NGO関係者やボランティア、学生など10数名の方にご参加いただきました。

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第二回ODA改革パブリックフォーラムの目的は9月の政権交代を機に、ODAのあり方の見直しを民主党政権に提言することです。このことを踏まえ、勉強会では、はじめに、講師の高橋清貴(ODA改革ネットワーク世話人/JVC調査研究・政策提言担当)がパブリックフォーラム主催団体の一つで、第4分科会『ODA上位政策への市民参加』をコーディネートするODA改革ネットワークのミッションと活動の考え方について説明しました。

日本は1950年代からずっとODAを実施してきましたが、戦後補償という形で侵略を受けたアジア諸国への援助が中心でしたので、国民への説明や国民の参加などといった民主的なプロセスが十分果たされずに行われてきました。そして、近年になってからは、「官民連携」などといったスローガンの下で、狭い国益・企業益の追及のために、アジアやアフリカ諸国へのODAを加速させています。

こうした動きに対し、ODA改革ネットワークは日本のODAをより国民に公開されるようにすることと、ODAの政策作りの段階において国民の参加促す制度を築くことを目指して活動しています。

政策作りの段階での国民の参加の「場」を工夫するというのはなかなか難しい作業です。「制度について考える」というのはそもそも人気度が高いテーマとは言えませんが、民主国家としての日本にとっては重大な課題です。

続いて勉強会では、主なのODAの課題として、日本のパリ宣言やミレニアム開発目標への取り組み、ODA基本法の制定や官民連携などをテーマに挙げて、これらの議論の概要を整理しました。そして、参加者一人一人に対し、日本のODAのあり方に関する議論に日本の国民がより深く関わっていくことが、ODAの質、強いては途上国の人々の生活、を変えることにつながるのだと訴えました。

終了後の参加者へのアンケート調査では、ODAの不正腐敗や官民連携を危惧する声がある一方、市民社会としてODA政策を動かすために何をすべきかに関心を持ったというご意見を多数頂きました。

ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

投稿者 oda_net : 12:43 | コメント (0)

2009年09月15日

JICA基礎研究セミナー「効果的な”復興支援”を考える〜モザンビークを事例に〜」

2009年9月14日、JICA主催の基礎研究セミナー「効果的な”復興支援”を考える〜モザンビークを事例に〜」に参加した。

モザンビークは1992年の紛争終結後、国際社会の支援の元で安定した民主主義国家づくりと経済成長を成し遂げている数少ない成功例である。セミナーではまずJICA公共政策部部長の中川寛章氏がモザンビーク内戦と復興支援の概要を説明した。それに続いて、モザンビークの調査に携わった織田靖子氏が調査結果について報告を行った。この中で特に指摘されたのが、緊急人道支援から復興支援へのスムーズな移行の重要さと難しさである。緊急人道支援と復興支援ではニーズ、手法、そして援助機関も異なるため、各機関の連携、モザンビークの場合はとりわけUNHCRが緊急人道支援だけでなく復興支援まで活動の幅を広げたことが安定移行に繋がったという。

セミナーの後半は、大野泉政策研究大学大学院教授、村田俊一UNDP駐日代表、宮司正毅元三菱商事常務執行役員/現JICA客員専門員、押山和範JICAアフリカ部部長らによるパネルディスカッションが行われ、場内も交えて活発に議論が行われた。その中で、JICA、JBIC、NGO、民間企業全てを力を結集してより効果的に、効率的に人道支援から開発まで一貫して担う「All Japan」というコンセプトが高い支持を集めた。特に宮司氏はJICAと国際機関の役割の違いを強調し、ODAが税金で賄われている以上、「日本の顔が見える援助を戦略的にやるべきだ」と主張した。そして、民間企業の参画をODA資金でもっと後押しすべきだと訴えた。

確かに「All Japan」という号令の響きは美しいが、いくつかの危険も孕んでいるのではないか、と私は思う。まず第一に、日本のODAは従来よりインフラ整備に傾倒しており、紛争終結地域における人道支援や復興支援に包括的に関わった経験が乏しく、マルチセクター協力のルールも整備されていない。このような状況において、スピードや効率、インパクトのみを追求することは高いリスクを伴う。

第二に、JICAは途上国の現場を知るNGOのリソースをもっと活用すべきという意見がある一方で、NGOにとってJICAと組むことは様々な支援を得られる反面、独自性や行動の自由が制約される可能性もあり、両刃の剣である。第三に、民間セクターの参画は歓迎すべき、また奨励されるべきではあるが、裨益国やその国民の利益ではなく、企業利益が優先される可能性がないとは言い切れない。途上国を支援するはずだったODA資金が結果的に民間企業への支援に回されることはあってはならない。そのためにも、日本国政府は援助に対して、しっかりとしたビジョンとルール作りが求められている。

投稿者 oda_net : 17:31 | コメント (0)

2009年07月31日

「通貨取引開発税」はどう議論されたか

これまでODAネットでは、援助の「質」に焦点を当て、日本国政府の海外援助の透明性向上や説明責任についての提言活動を中心に行ってきました。途上国の人々の暮らしは援助による影響もありますが、一方で民間企業や投資、国際的な金融のあり方も小さくありません。昨今の景気後退で先進国がODA予算を縮小する中、注目を集めているのが国際金融が暴走しないように規制しつつ、開発資金を創出する「革新的資金メカニズム」と呼ばれる新しい仕組みです。

この「革新的資金メカニズム」の一つとして提唱されている「通貨取引開発税」に関する勉強会が先日、「国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)」によって開催され、通貨取引開発税の議論の背景や概要及びメリットについて、上村氏(横浜市立大学)から話を聞きました。

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【背景】
「革新的資金メカニズム」は元々、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成させるための資金調達を目的に提唱されたもので、2006年に発足した「開発資金のための連帯税に関するリーディンググループ(以下、リーディング・グループ)」を発端に、国際的に議論されて来ました。(http://www.env.go.jp/council/40chikyu-tax/gaiyo40.html)以来、先進国の間ではODAを補完するための仕組みとして注目されており、先日のG8ラクイラサミットでも、国際連帯税などの「革新的資金メカニズム」の更なる活用と拡大を検討することが宣言に盛り込まれています。

他方では、COP15に向けて新たな気候変動対策の枠組み作りにも国際社会は取り組んでいるものの、ここでも巨額の資金調達が懸案となっています。これまでEUを中心に排出権取引税や地球炭素税などの創設が提案されてきましたが、未だ合意には至っていません。

翻って日本。日本国政府は2008年11月に「リーディング・グループ」に正式加盟し、気候変動対策にも表向きは積極的に取り組む姿勢を見せています。 2008年6月に「低炭素社会の実現」を目標とする福田ビジョンが提示され、同年7月には「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定されました。そして、9 月には「地球環境税等研究会」が設置され、「革新技術の開発や途上国の支援を共同して行うための財源」の確保に関する各種制度の課題や合理性について議論が交わされました。

この中で議論された地球環境税の手法は以下の通りです。
地球環境税等研究会報告書(PDF)より抜粋

炭素税型: 炭素の排出等に統一課税するタイプ

排出量取引制度からの調達型: 炭素排出量取引市場における炭素クレジットの一部徴収や、各国に割り当てられた排出枠自体の一定割合をオークションすること等により資金調達するもの

通貨取引課税型: グローバルな通貨取引に課税するもの

輸送課税・負担金賦課型: 京都議定書の対象外である航空機・船舶等による国際輸送に対して、税やそれ以外の形(例:負担金)で賦課するもの

国家予算による資金拠出(又は信用創出)型: 各国の国家予算から国際機関等への追加拠出を行うものや、各国の将来の資金拠出に係るコミットメントを担保に、国際機関が金融市場での債券発行により資金調達するものを含む

炭素クレジット付与による資金誘導型: CDMに代表されるような、炭素クレジットによりインセンティブを付与し資金を誘導するもの

その他: 「多国籍企業への課税」、「武器取引税」など

【通貨取引開発税とは】
以上の7つの税型の中で、上村氏が推奨する通貨取引税型とはどのようなものかについて簡単にご説明します。

通貨取引開発税(Currency Transaction Development Levy, CTDL)は2006年に開催された「革新的開発資金メカニズムに関するパリ会議」でイギリスのNGO、Stamp Out Povertyによって提唱されました。特定の通貨の為替取引に一律の低い税金を課することで、市場にかかる負荷を最小限に抑えて、開発や様々なグローバルな課題に取り組む資金を得ることが狙いです。現在、提案されている通貨取引開発税の税率は0.005%となっており、それによって得られる資金は、主要通貨であるドル、ユーロ、円、ポンドに限定して課税した場合で年間約334億ドル(3兆3400億円)と見積もられています。

※詳しい試算データ及び手法については、Stamp Out Povertyが公開しているレポート「The Currency Transaction Tax: Rate and Revenue Estimates」をご参照ください。

上村氏は通貨取引開発税のメリットを以下のようにまとめています。

1) 通貨単位で課税できるので、一国だけでも実施ができる。
2) 低税率のため、市場与える影響は小さい。
3) 国際為替取引市場の規模が大きいため、まとまった税収が見込める。
4) 為替取引は今後も増加する傾向にるため、安定した税収が見込める。
5) 国際為替取引市場はほとんど電算化されており、技術的に実施が可能。
6) 投機マネーをある程度抑止し、市場安定化の効果が見込める。
7) 投機的取引というグローバルな「Bads」から徴税し、開発や環境というグローバルな「Goods」へ再分配を図ることで、社会的公正に寄与する。

この中で、上村氏が最も強く主張したのは、1)、2)、3)、7)の項目ですが、残念ながら、これらは財務省と最も見解が別れた項目でもあったそうです。

各国政府の権限で自国の通貨に課税するだけで済み、その結果自国の通貨の取引額が多少減っても(日本の場合は−14%と見積もられている)、一般の人にはなんら影響はない、とする上村氏に対し、財務省は全通貨同時に課税しなければ不公平が生じるため、実現が困難だと主張しています。また、0.005%という極めて低い税率についても、CLSB(多通貨同時決済銀行)の利用手数料よりも高くなるという金融界の声を反映した根強い反対意見が出されています。

こうした財界、産業界の強い抵抗に遭いながらも、通貨取引開発税を含む国際連帯税の議論を進める国内外の動きはますます活発になって来ています。国内では、国会議員、研究者、及び市民社会が中心となって「国際連帯税推進協議会」(通称寺島委員会)が発足し、国際連帯税、とりわけ通貨取引開発税の実現方法、税収の使途、ガバナンス等課題について議論が交わされています。

一方海外では、今年の5月に開かれた第6回リーディング・グループ総会では、フランスの外務・欧州担当大臣のBernard Kouchner氏は「フランスは通貨取引開発税の可能性を研究するパイオニア国になる用意がある」と発言しました。また、この会議の最後に出された議長声明の中に、「通貨取引開発税及びその他国際金融取引からの自主的な資金提供に関わる技術的、法的実行可能性評価するためのワーキンググループを設立し、あらゆる可能性を探って行く」旨が明記されました。
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通貨取引開発税をはじめとする国際連帯税、あるいは地球環境税をめぐる議論は、今後国内外でますます動きが活発になることが予測されます。今後の議論のポイントについて上村氏は、1)ガバナンスと税収の使途の検討、2)気候変動と国際開発を融合させた視点を持つ、の2点を上げています。ODAネットとしては、これまで追及し続けて来た援助効果向上の立場から、特にガバナンスの問題に注目しています。議論の進捗を見守り、その中身を検討するだけでなく、日本政府の役割や新しい資金獲得のスキームに伴う援助のあり方の変化などについても考査して行きたいと考えております。

最後に、お知らせです。

今日の世界経済や金融危機、国際連帯税について学ぶ夏期集中セミナーが開催されます。詳しくは、「国際連帯税を推進する市民の会」(アシスト)のホームページをご覧ください。

また、国際協力NGOセンターが発行している『シナジー』9月号に、上村氏の論文が掲載される予定です。

投稿者 oda_net : 19:31 | コメント (0)

2009年07月15日

CSOネットワーク主催セミナー「開発効果の潮流と市民社会の動向」

去る5月14日に、援助効果向上に関する「アクラ後」の最新論点と国際CSOの動きについて、CIVICUS: World Alliance for Citizen Participation(南ア本部)の事務局次長を務め今田克司氏(CSOネットワーク)による報告会が行われました。

「開発効果の潮流と市民社会の動向」と題した今回の報告会に、ODA改革ネットは協力団体として参加致しました。また、コメンテーターとして、JANIC事務局長下澤氏とODA改革ネットの高橋氏が参加しました。高橋氏は、「アクラ後」の動きとして、特に援助の透明性を高めるイニシアチブ(International Aid Transparency Initiative)の重要性と国連(Development Cooperation Forumの発足)の役割への期待について意見を述べられました。

今田氏の発表資料の一部を下記からダウンロードできます。是非ご覧下さい。
Download file

投稿者 oda_net : 15:36 | コメント (0)

2009年04月16日

ODA入門セミナー報告書

2008年5月・6月に開催されましたODA入門セミナーに関する報告書が関西NGO協議会より公開されました。(リンクをクリックするとPDFファイルをご覧頂けます。)今月中には印刷版も完成し、「ODA政策への提言活動サポート寄付」にご協力頂いた方を中心に頒布する予定となっております。

計4回に渡って開かれた当セミナーは、様々な講師を招いて、ODAの仕組みと現状の問題点について学び、参加者に自分とODAとの関わりについて考えるきっかけを与えることを目的に開催されました。セミナー後参加者の皆様から前向きなコメントをたくさん頂き、大変有意義な取り組みとなりました。

ODA-NETでは今後もこのようなを積極的に行って行きたいと考えております。当ブログ上でも随時ご案内申し上げますので、どうぞお気軽にご参加ください。

投稿者 oda_net : 14:15 | コメント (0)

2008年08月01日

☆第二回ODA基礎講座開講☆

続きましてODA基礎講座開講のご報告です。

7月19日土曜日の昼下がり、ODA改革ネット事務局が企画しましたODA基礎講座の第二回目が行われました。学生5名ほどに参加していただき、講師の遠藤衛さん(TICAD市民社会フォーラム)を招いて“援助効果”をテーマにODAについて学びました。

[講座内容の概要]
☆世界の援助潮流とアフリカ – 70年代から現在までの援助を巡る世界の流れと特徴の変化について、またなぜ今アフリカが注目されているのか
☆過去の援助の成果 – 特にタンザニアを例に援助がどのような役割を果たしてきたのか、なぜアフリカでは経済成長が困難なのか
☆新しい援助方法への取り組み - セクタープログラムと一般財政支援(GBS)について
☆よりよい開発援助に向けて - 日本、そして世界は今後どのように効果的な援助を駆使してアフリカを支援していくべきか

といったトピックについて、短い時間ながらもたっぷりの情報と自らの経験をお話してくださいました。
下に当日のプレゼンテーションをアップロードしますのでご覧ください。

その後もしばらく遠藤さんや学生同士がざっくばらんに質問したり話し合ったりしながらアットホームな雰囲気でJVC事務所に残り有意義な交流が出来たと思います。

今後もたくさんの人を対象に基礎講座を開講していきたいと思いますので是非ご参加ください。


ODA kisokoza.JPG

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投稿者 oda_net : 12:20 | コメント (0)

2008年06月28日

☆第一回ODA基礎講座☆

6月27日金曜日の夕方、第一回目のODA基礎講座がJVC事務所において行われました。初回ということで“ODAとは何なのか”というテーマのもと講師の高橋清貴さん(日本国際ボランティアセンターJVC・調査研究担当)が学生6人にODAについて説明してくださいました。

[講義内容の概要]
☆ODAとは何か    
☆ODAをする根拠とは 
☆ODAの問題点とは  

このようなトピックのもと、高橋さんが説明してくださいました。特にODAの問題点についての説明は実際の経験をもとづいたものだったので、実感のわくものでありました。

参加者からも「大学の講義では知ることができなかったODAの新たな一面を知ることができたので参加して本当によかった」などの声が聞かれたので有意義な講座になったことだと思います。

今後もODA基礎講座は開催していく予定なのでなので是非ご参加ください。

投稿者 oda_net : 14:15 | コメント (0)

2008年06月04日

「援助効果向上に関する勉強会~アフガニスタンを事例に」の報告

5月7日(水) 午後7時よりJVC東京事務所においてAid Effectiveness(援助効果向上)についての概説とアクラ会議に向けたプロセスについて市民社会で事前勉強会を行いました。これは、5月14日(水)に援助効果(Aid Effectiveness)に関する第一回目のNGO・外務省の意見交換会が行なわれることに先立って、Aid Effectivenessについて市民やNGOの間で理解を深めようと企画したものです。今回は、アフガニスタンに関する報告書などを活用しながら、ODAの「アカウンタビリティー」について考えました。NGOスタッフや学生など10名ほどの参加があり、アットホームな雰囲気の中、2時間ほど議論しました。

勉強会では、まず「パリ宣言」の内容についての理解を深めました。今年9月、ガーナの首都アクラで「パリ宣言」を各援助国がどこまで達成したかをレビューする国際会議が行われる予定で、今、海外の市民社会は、その会議に向けて提言を準備しています。その内容についても紹介がありました。

次に、アフガニスタンへの援助を事例として検討しました。アフガニスタンでは、現在、治安状況の悪化が進んでおり、政府の正当性も揺らぎ始めています。復興プロセスも遅々として進まず、中でも軍による援助が行われるなど新しい課題が生まれています。このアフガニスタンの現況に対して、二つの国際NGOが「パリ宣言」に基づいて報告書を出しました。一つは、アフガニスタンで活動する国際・国内NGOのネットワークであるACBARのMatt Waldman氏による"Aid Effectiveness in Afghanistan"。もうひとつが、ActionAidによる"Aid Accountability"です。報告書は二つとも、アフガニスタンが現在陥っている外部からの援助への依存と開発復興への資金不足、アフガニスタン政府の能力不足の問題を指摘しています。

レポートの内容の紹介が二人のボランティアから行われた後、援助効果の観点から議論をしました。その中で、政府と対話を進めていく際には、政府が援助の透明性を高めるなどパリ宣言に沿って行動していくことが重要であるとの意見がある一方、援助効果アジェンダそのものにも問題がある点を突いていかなければいけないのではないかといった意見も出ました。

10月にJICAがJBICと統合して新しく生まれ変わります。新JICAがこの「パリ宣言」に対して果たしうる役割も大きくなるでしょう。勉強会を主催したODA改革ネットでも、今後、こうした国内外の文脈を踏まえながら勉強会を重ね、援助の「質」についての議論を市民の間で高めていきたいと考えています。

参考資料

ACBAR レポート リンク先 (原文)
http://www.acbar.org/ACBAR%20Publications/ACBAR%20Aid%20Effectiveness%20(25%20Mar%2008).pdf

ActionAidレポート (日本語要約)
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投稿者 oda_net : 18:45 | コメント (0)

2008年05月21日

「援助効果向上に関する勉強会」報告(5/14)

5月14日に行われた第一回「援助効果向上(Aid Effectiveness)に関するNGOと外務省との意見交換会」に先立ち、同日、NGO側参加者で事前勉強会を行いました。簡単に報告します。

勉強会は、意見交換会で提示される論点について参加者で理解を深める目的で行われました。発表者であるTICAD市民社会フォーラム(TCSF)の遠藤さんから提示された論点は次の通りです。

・援助効果を取り巻く世界の潮流。特に、60年代からの援助潮流の変遷と欧州主主導のパリ宣言までの道のりについて
・ 援助のアンタイド化、プログラム援助・セクタープログラムの重視、一般財政支援などパリ宣言に含まれる重要イシューについて
・パリ宣言 5原則の深化のためにアクラ・ハイレベル会合に向けて準備されるAAA(Accra Agenda for Action)の草案内容について
・CSOとパリ宣言の関係について(ドナーはパリ宣言にCSOにも適用させようとしているが、パリ宣言は基本的にODAに向けられたものであり、CSOは独自のプロセスを取るべき)、等

その後、参加者の間でパリ宣言の内容と意義について理解を深めるために議論を行いました。日本のODA(タイド援助、借款重視)を批判的に監視し、市民と共に援助効果向上と開発資金スケールアップを目指すODA改革を推進させていくことが必要であり、今後、外務省との意見交換会を積極的に利用してODAの民主化やアンタイド、予測性の向上を追求していくことを確認。具体的には、アクラHLF(8月29日~9月1日)に向けて準備されるAAAに要注目です。

勉強会で使用した資料も載せるのでダウンロードの上、ご参照ください。

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(Written by ODA改革ネット東京事務局)

投稿者 oda_net : 11:36 | コメント (0)

2007年08月17日

【東京】ODA講座 第五回・第六回

ODAブログでも宣伝してきました「ODA講座」が開催されました。少人数によるとても内容の濃い講座になりました。講師の方、参加してくださった皆様、有難うございました。

今回は、第五回6月30日、第六回7月7日の回の報告をします。

第五回6月30日 講師:久保康之(インドネシア民主化ネットワーク)

「日本の対インドネシアODA~コトパンジャン・ダム問題を中心に」

第五回となる今回は、講師久保さんの団体の参加者もあり、ODA講座では一番の参加者が集まり
ました。

内容:
日本はインドネシアに対するODA額が非常に大きい。これはインドネシアが日本の経済や国益にとって重要な国であるからである。地政学的位置、豊富な天然資源などが主な要因だ。日本のODAによって多くのダムが作られている。それがコトパンジャン・ダムとビリビリ・ダムである。このダムは日本のODAによってつくられた。製造目的としては、洪水防御・灌漑・都市用水・発電など多目的である。
しかし、環境や社会的影響は深刻。ダム建設のための森林伐採・住民移転などの問題である。
なかでも住民は、暮らしていた土地を奪われるだけでなく、不毛の土地に強制的に移住させられることもあり家族の生計は崩されるケースが多い。そのほか、住民移転によりその村の社会の崩壊・水問題・生計への影響・未払いの補償金など問題が山積みである。そのため、さまざまなインドネシアODA案件視察を行うなどアドボカシー活動が行われている。

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第六回 7月7日 講師:斉藤文司

「JICAの現場~スマトラ沖津波救援活動を通して~」

ODA講座の締めくくりとなる今回。講師斉藤さんからとても興味深い話が聞けました。

内容:
斉藤さんはJICAシニア・ボランティアとしてスリランカに派遣された。そこで、イギリス統治の影響を引きずる国民気質や、官僚主義・上下関係、そして社会主義国の厳しい実態などに直面。配属先にてガスクロマトグラフィという高度な機械の操作指導をすることになっていたが、配属先の役所の職員の怠惰な態度、厳しい上下関係、知識の乏しさや、高価な機械を導入環境も整っていない現状を知り、高価な機械を導入することへ違和感を覚えると同時に基本的な事柄から改善しようとする。そんな中、スマトラ沖地震が発生し巨大津波がスリランカを襲う。滞在していたコロンボは無害であったが、被害の大きい東部地域の情報は把握できなかった。JICAからは安否の確認の電話がかかってきた。困っている人たちを助けたい、と志願してもJICAは断る。その後JICA専門家が派遣されてくるが、役に立てず。JICAも専門家も、現地官僚も国民を見ていない。真の課題とは、貧困削減ではなく、インフラ整備でもなく、シンハラ政府の改革である。政府による政治的殺害、警察による拷問は深刻であり、教育も改革の必要があるのだ。こうしてシニアボランティアを通してJICAの官僚主義・予算主義の面を見、問題を感じる。

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感想
お二人の講義はとても興味深いものでした。ODA案件が必ずしも良いものではなく、被害を被っている住民がたくさんいること、その問題はODAを提供する日本だけでなく、その国の政府や官僚にもあることなどが学べました。とてもわかりやすい講義で楽しむことが出来ました。参加者からの質問、議論も盛り上がり、ともに内容の濃い講座となったことは嬉しいです。

投稿者 oda_net : 12:23 | コメント (0)

2007年04月09日

マニングOECD-DAC議長との座談会(2/13)のビデオが完成しました!!

2月13日に行われた、OECDマニング議長を招いての座談会のビデオが
インターネット新聞「JANJAN」に掲載されています。

是非ご覧ください!
http://www.janjan.jp/world/0704/0704033042/1.php

投稿者 oda_net : 11:49 | コメント (0)